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  ホーム >> frunブログ集 >> 勝負する 気持ちになれた 伊達ハーフ〜第30回伊達ハーフマラソン完走記6

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feed 勝負する 気持ちになれた 伊達ハーフ〜第30回伊達ハーフマラソン完走記6 (2017-4-28 23:18:33)

(6)セカンドビギナー 息を吹き返す

 残り5キロあまりを26分。キロ5分程度で走れば2時間を切れます。今なら簡単に計算できます。

 ところがこのときはいったいどんな計算をしたのでしょう。キロ5分を大きく切るペースでなければ2時間は切れないという計算をしてしまったのです。

 下り基調ということもあり、キロ5分ならばイチかバチか勝負しようという気になったかもしれません。ところがキロ4分台となると、今の私には無理です。この時点で完全に諦めました。

 そのまま楽なペースで走っていたら、あとから気づいたときに痛恨の計算ミスということになったでしょう。ところがこのときの私には、諦めたにもかかわらずなぜか火がついてしまったのです。2時間は切れなくとも、最後まで思い切り走ろう!と。

 下り坂に身を任せて、私はさらにスピードアップしました。下りで下手にペースをコントロールしようとすると、ついついブレーキをかけてしまいそれが膝への大きな負担となってしまうことがあります。ブレーキを解放したことでその心配は少し減りました。しかしオーバーペースで体が悲鳴を上げる心配は大きくなりました。

 前を走るランナーに一気に近づき一気に交わしていきます。終盤のロングスパートが決まったときは、「何人抜いたか数えておけばいかった!」と後悔することも少なくありませんが、今回もまたそうでした。ここからゴールするまでに抜いた人数は100人は下らないでしょう。

 17キロの通過タイムは1時間39分を切っています(1時間38分50秒)。この間のラップは5分台の前半です(5分17秒)。ここでも5分を切れなかったので、2時間切りはますます遠くなってしまったと思っていました。しかし今計算してみると、残り4キロ少々を21分です。けっして狙えないペースではなかったことがわかります。

 しかしこのときの私には何もわかっていません。ただわかっていたのは、キロ6分ペースである1時間42分に対しては3分ほどの貯金となっているということだけでした。こちらからも、ここまでかけてやっと3分の貯金を作ったという程度なのに、あとたった4キロで貯金を倍増させるのは不可能だろうという結論に至りました。

 それでも私は全力で走り続けました。足の疲労は増しています。さらに明らかなオーバーペースのため呼吸も苦しくなってきました。しかし下りでひとたび勢いがついてしまうと、もはや止めることはできませんでした。

 しかし勢いにまかせて走っているとだんだん呼吸が苦しくなってきます。だんだん表情が険しくなってきているのがわかります。そんな苦しさを紛らすために、無理やり笑顔を作ります。

 18キロの通過タイムは1時間43分台の後半です(1時間43分42秒)。ラップタイムは5分程度(4分52秒)のようです。2時間06分の目標タイムに対しては4分あまりの貯金となりました。この貯金が6分になれば2時間を切れるのですが……あれっ?狙えないことないんじゃないか?細かい計算はできませんが、絶望的な状況でもないような気がします。

 残り3キロあまりを16分ですから、キロ5分程度でいければ……でもキロ5分は簡単なことではありません。簡単なことではないけど、今はその程度のペースで走れています。このままのペースで行けば……。

 絶対に無理だと思っていたのに、どうしてこんなことになっているのかまったくわかりません。私、そんなにすごい走りをしているのでしょうか。いずれにせよ、無理だと思っても諦めずに勝負をしたことが奇跡につながるのかもしれません。

 その原因が単純な計算ミスだったことに気づいていない私は自分に酔いしれていました。

 2時間を切れるかもしれないという思いは、私の心身に大きなエネルギーとなりました。ひたすら前へ、前へと足を運びます。

 しかしそれと同時に苦しさも増大します。呼吸も限界ですし、胃の辺りにもこみ上げてくるものがあります。その限界を超えないように見極めながら、一歩一歩足を前に運びます。

 キロ6分×残り距離でもいいというくらいの貯金ができれば楽なのに……そう思いながら19キロの通過タイムを確認します。1時間48分台の後半です(1時間48分40秒)。この間のラップも5分程度をキープしているようです(4分58秒)。安全圏には届きませんでしたが、かなり近づいてきました。このペースを維持さえできればなんとかなりそうです。

 しかしこのあたりまで来ると、維持すること自体が大変なことです。コースもこれまでの下り基調から平坦に近くなっているのでしょうか、急に足が重くなります。ペースも落ちてきたように思えます。そうなるとここで失速してしまうのかという不安が大きくなってしまいます。

 でも周りのランナーとの相対速度を見ていくと、私だけがペースダウンをしているわけではないようです。ペースが落ちながらも、今まで同様に前のランナーを追い越し続けています。大丈夫、ペースは落ちてない。このまま全力でゴールに飛び込めば、結果は必ずついてくる。そう自分に言い聞かせました。

 やがて20キロ地点が見えてきました。(つづく)


(1)セカンドビギナー、準備にまごつく
(2)セカンドビギナー、いろいろやらかす
(3)セカンドビギナー、スタートする
(4)セカンドビギナー、ときどきサボる
(5)セカンドビギナー 意識が薄れる


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