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feed 13年 時を隔てて また号泣〜第30回記念北海道マラソン完走記9 (2016-9-14 22:12:37)

(9)号泣

 300メートル先に見えるゴールゲート。はるか遠くに見えますけれども、ここまで走ってきた距離を思うとほんのわずかです。私は満面の笑みを浮かべて沿道の観衆に手を振りながら進みます。

 昨年の11月から今年の6月まで、さまざまなアクシデントもあったりしてほとんど走れませんでした。7月にランナー復帰したものの、最初はまるでビギナー並みにしか走れません。10キロを走るのも大変な状態で、8月末に北海道マラソンを走れるようになるかと大きな不安を抱きました。

 8月になって少し長い距離を走る練習をするようになりました。でもなかなか不安を払拭するまでは至りませんでした。逆に走った後の膝の状態の悪さに、自信をどんどん失っていきました。

 北海道マラソンが近づくにつれて、敵前逃亡も頭に浮かぶようになります。衝動的にホテルをキャンセルしようかという気持ちも起きてきます。走るからには完走を目指して走りたい。でも今年の私はとても完走を目指せるような状態ではない。それなら今年は無理せず来年に向けて態勢を立て直すべきではないか。そんな自問自答を繰り返していました。

 もしもこの週末の目的が北海道マラソンだけだったら、私には走る勇気はなかったかもしれません。でも今回は他にも目的がありました。だからホテルをキャンセルするわけにはいきませんでした。

 札幌までは行くものの、走るかどうかはなかなか踏ん切りがつきませんでした。当日の朝までそんな迷いは続きましたが、スタートすることだけを目標に切り替えて出場を決意しました。どうしてもゴールをする自信がない私は、そうでもしないとスタートラインにつく勇気が出なかったのです。

 でもどうにかここまでこれました。練習不足の体には酷なことだったことは明らかです。体は全身が悲鳴をあげています。下半身の関節や筋肉が痛むのはもちろん、振っている左腕だって筋肉痛に苦しんでいます。でもとうとうここまでやってました。そんな万感の思いをこめて沿道の声援に左手を振って走ります。

 13年前。初めての北海道マラソンのときは、北海道マラソンのことを何も知らないが故の怖さに震えて走っていました。そんな怖さを乗り越えて、ゴールの瞬間にすべての感情が溢れ出ました。

 13年経って、私は北海道マラソンの怖さを嫌というほど知りました。怖さを知っているがゆえに足がすくみました。怖さを知っているがゆえにスタートの壁をものすごく高く感じました。

 そんな怖さを乗り越えてここまでやってきました。もうすぐです。もうすぐすべてが終わります。

 ゴールゲートの直前では有森裕子さんがハイタッチをしながらランナーたちを迎えています。私も有森さんとハイタッチを交わし、両手を天に向かって突き上げました。そしてそのままゴールラインを越えたのです。

 4時間53分02秒。12回目の完走ですが、これまでの北海道マラソンでダントツのワーストタイムです。でもこれまでで一番頑張ったレースでした。

 ゴールラインを越えて数歩進んで振り返り、いつものように深々とお辞儀をしました。そしてまた振り返って前に進み始めたのですが……。

 次の瞬間、私は壊れてしまいました。13年前のあのときのように、涙が突然溢れ出てきたのです。

 怖かったんです。今回は本当に怖かったんです。走らない理由をいろいろ探していたのも、その怖さを隠すためでした。走る前からこんなに怖かったことはありません。こんなに走りたくないと思いながらレースに出たこともありません。

 ずっと怖さにつぶされそうになっていました。そして怖さから解放されたとたんにたがが外れてしまったようです。

 13年前のあのときはあたり憚ることなく声をあげて泣きました。さすがに今回はそうはいきません。声を殺して顔の汗を拭っているようなふりをして、メガネを外して涙をリストバンドで拭いていました。

 しかしそんな私の姿を先にゴールしたtamtamさんと「ランニングパラダイス北海道」のパーソナリティーHITOMIさんがしっかりと見ていました。そんな2人と言葉を交わしましたが、興奮の極致にいた私は何をしゃべったか覚えていません。

 それから動線に従って前に進みます。完走メダルをかけてもらい、フィニッシャータオルをもらい、水を受け取ってチップを外してもらって完走証を発行してもらいました。(つづく)


(1)最大のピンチ
(2)踏ん切りつかず
(3)自己暗示
(4)昨年よりもいい感じ
(5)ランナーズハイ
(6)キロ7分
(7)絶対にたどり着いてみせる
(8)あと300メートル


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