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熊本震災支援業務を振り返る(3) (2016-6-18 23:57:26)
今回は避難所運営で感じたことを記述。
支援業務のもう一つの柱は避難所運営の補助であった。避難所には「受付」のようなブースが設けられ、水やお茶のサーバーがあり紙コップに入れて飲んでもらったり、ティッシュやオムツなどの衛生用品を渡したり、また食事の配給を行ったりした。これ、何かに似ているなあと思ったら、24時間リレーマラソンでテントサイトに設けるエイドと一緒だと気が付いた。未経験者には何のことかわからないかもしれないが、24時間リレーマラソンでは参加チームのうち誰か1人がタスキを持って周回路を走っており、待機中の他のランナーは自陣のテントサイトで休憩、食事、睡眠を取るのである。そこで飲み物や食べ物を提供するのがエイドステーションである。避難所の場合は、被災者がランナーで、避難所受付はエイドのスタッフということになる。また、トイレやシャワーが仮設だったり、寝るときは雑魚寝というのも実に似ているなと思った。
しかし似ているようで若干違うのは、リレーマラソンの場合はランナーとエイドスタッフが交代・兼務することがしばしばあるのに対して、避難所では基本的にそのような(被災者自身がスタッフもする)ことは一切ないということ。また、決定的に違うのは、リレーマラソンでは24時間後には確実にゴールがやってくるのに対し、避難所では、ゴールが見えないということであった。
また、ホテルのフロントのような雰囲気もありつつ、厳然として異なる点があった。それは、お客様は神様です、何でもご注文を承ります、ということはできない、という点であった。具体例でいうと、ティッシュをくださいとかトイレットペーパーをください、と頼まれても、1箱、1巻ずつしか渡さない。もっとまとめてくれよ、といわれることがたまにあるのだが、際限がなくなるので応じない。無くなった時点でまた取りに来てもらう。
また、パンの配給の際はパック入り牛乳を配り、そのストックは普段から備えられているのだが、全員に配る時以外は、個別にリクエストがあっても応じない。堅いこと言うなよ、融通利かせてやれよ、と思われるかもしれないが、一人でも応じてしまって、じゃあ俺も俺もと次々来られてしまうと、あっという間に在庫がなくなるのである。待遇を平等にしなければならない以上、止むをないルールであった。
被災者用に届けられた物資はバックヤードにストックされているのだが、中にはバラバラの内容物を一箱に詰め込んだものとかもあり、これは正直迷惑かなと思われるものもあった。ただ、一方で、大量にはいらないけどちょっとあると助かる、でもそれだけ頼むのもどうかな、と思われる品物類(例えば、乾電池や、洗濯ばさみなどのリクエストがあった)は、今これだけネットでの情報処理がやりやすくなっているのだから、もうちょっと工夫できるのではないかなとも思った。
私が避難所を去ってから1ヶ月経っても、まだなお避難され続けている方々を思うと、気の毒でならない。心よりお見舞い申し上げます。