私は根が古い人間ということかもしれませんが、手間をかけるということに価値を感じてしまいます。

　たとえばコーヒーを淹れるとき。挽いた豆を買ってきてコーヒーメーカーで淹れると簡単ですが、それよりも自分で豆を挽いてからドリップで落とした方がずっと美味しく淹れられます。

　ご飯もそうです。炊飯器で炊くのはボタンひとつで簡単に炊くことができますが、それよりも土鍋などで炊いた方が美味しく炊けます。

　面倒だけどそのひと手間には後から「美味しさ」という見返りがあるのですね。

　実は最近それを痛感しています。我が家では可能な限り私がご飯用の土鍋を使ってご飯を炊いています。そしてセラミックのおひつに入れています。

　でも暖かい時期になってくると、おひつの中のご飯に臭いが付きやすくなってしまいます。そこで仕方なく炊飯器を使っていますが……不味いんです。土鍋で炊くご飯に慣れちゃうと、あまりにも違いすぎるのです。同じ米を使っているのに。

　本当はもうひと手間かけると夏でも土鍋炊きのご飯を食べられるんですよね。一度に炊く量を少量にして食べきるようにすれば。でも毎日働きながらそんなに頻繁にご飯炊きもしていられず、泣く泣く炊飯器を使っています。

　便利になることを否定するつもりはまったくありません。私も数々の便利さのおかげで自分の時間を作ったりできていますから。ただその陰で犠牲にしているものもあるのかもしれません。

　今朝、ご飯を食べながら、そんなことを考えていました。


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