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feed 【2016.5.2 前野咲希(Vn)・松尾久美(Pf)、リサイタルを聴く】 (2016-5-5 21:22:44)
前野さんのヴァイオリンを聴いてきました。前回、拝聴したリサイタルが2011年。桐朋女子高校(音楽科)、桐朋学園大学(音楽学部)を卒業後、
英国王立音楽大学で更に研鑽を積まれ、近年ではウクライナでも演奏活動をする一方、指導者としてもご活躍されていらっしゃいます。
7年前に私が属していた市民オケのエキストラとして来てくれまして、桐朋の高校、大学の話をいろいろと聞かせてくれました。

そんなこともあって、勝手ながら親近感を覚えているヴァイオリニストであり、今回のリサイタルを知って楽しみにしていました。

置きチケットでお願いし、当日代金をお支払いし、チケットが入った封筒を受け取ると、前野さん直筆の私へのメッセージ?も入っていまして、びっくり。
恐らく一人一人に丁寧にお書きになったのだろうなぁと思いました。リサイタル後も、すぐに来場感謝のメールが来まして、そのお人柄に敬服です。

フランセ:ソナチネ
モーツァルト:ソナタ34番 K.378(317b)
シマノフスキ:3つのパガニーニによるカプリス24番
コレッリ:ラ・フォリア(鈴木鎮一編曲版)
サン・サーンス:ソナタ第1番

モーツァルトの温かさや、ラ・フォリアの祈りにも近い音楽も素晴らしかったですが、私は特にシマノフスキとサン・サーンスに感銘を受けました。
シマノフスキの「3つのパガニーニ」はリサイタルではよく取り上げられる名曲の一つ。

パガニーニの原曲とは全く異なる世界が次々と現れてくるわけですが、前野さんは見事に弾き通していました。また松尾さんの表情豊かなピアノの音色にも驚嘆。

サン・サーンスのソナタ1番は、近年、個人的にかなり好きな作品になって、いろいろとCDを集めたりしてきましたが、やはり実演に接すると感動も極まります。
第1楽章から緊張度の高い演奏で、小柄な前野さんから、なんでこんなにエネルギーが出るのだろう?と少し不思議に思いながら鑑賞しました。

第4楽章は、まさに「ヴァイオリンとピアノの為のソナタ」であるということを深く認識させてくれました。
この楽章は、ともすれば後半の勢いだけで勝負するという演奏もあるのですが、前野さんは第1主題も強く訴えていて、全曲の構成をしっかり考えて弾いているように思えました。

最近、世の中、沈鬱な状況が続いていますが、今回の演奏で力をもらったように思えました。音楽はやはり日々の生活に大変重要な存在だと改めて感じました。

それと演奏の具体的な部分では、とにかく音程だということ。リズムが良くても音程が中途半端だとその音楽の魅力は半減します。

「耳で弾く」ということ。また身体全体で弾くということ。楽器から聞こえてくるのではない。その弾く方の身体から聞こえてこないと名演にはほど遠い。
前野さんは、前回以上に身体の中心から音が聞こえてきました。

ピアノは前回同様に松尾久美さん(桐朋、英国王立で一緒に学んだ方。日本音コン2位等)。かなりの実力の持ち主だということは今回も強く感じました。

お二人の今後の躍進を期待しています。


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