祖母の葬儀が行なわれた4月9日の北海道新聞朝刊に、留萌本線の留萌−増毛間の最終運行日が12月4日に決定したという記事が載っていました。昨年の時点でJR北海道から廃止の方針が出されて地元との協議が進められてきましたが、廃止後の支援内容などについてようやく合意を見たようです。

　これで12月5日からは留萌駅が留萌本線の終着駅になってしまいます。でもこれで終わりではありません。留萌本線自体が廃止になるのではないかという危惧も囁かれています。

　JR北海道より今年の2月に発表された平成26年度の線区別収支状況を見ると、留萌本線の留萌−増毛間は輸送密度（旅客営業キロ1km当たりの1日平均旅客輸送人員）39人、管理費を除く営業係数（100円の営業収益を得るために必要な営業費用の指数）4,161であり、どちらも道内でワーストとなっています。ちなみにどちらも道内ワースト2位は札沼線医療大学新十津川間で、輸送密度81人、管理費を除く営業係数1,909となっています。

　留萌本線深川−留萌間はどうかというと、輸送密度177人、管理費を除く営業係数1,316となっており、それぞれワースト5位と4位です。けっして楽観できる数字ではありません。

　おそらく、今年1年間は廃線特需で増毛を留萌本線で訪れる人が溢れることでしょうが、来年からは深川−留萌間の生き残りに向けてどうしていくか、手遅れにならないうちに考えていく必要がありそうです。

　私がいくつか思いついたことというと、どちらかというとマイナスイメージと捉えられるようなことを逆に特色として前面に押し出していくということです。

　たとえば、全国のJRで「本線」を名乗る路線の中で、留萌本線は全国第2位の短さです。一番短いのは66.1kmの筑豊本線で、留萌本線は66.8kmとわずかに長いのです。でも12月5日以降は50.1kmとなりますから、全国一の座は留萌本線のものとなります。何事も「全国一」となると鉄道ファンにアピールする材料となるのではないでしょうか。

　もうひとつ、留萌本線はネガティブな名物の宝庫でもあります。それは「秘境駅」です。室蘭本線の小幌駅のように「秘境駅｣として名を上げた駅もあります。でも実情としては、こうした利用頻度の低い「秘境駅｣はどんどん廃止される方向にあります。この3月のダイヤ改正でも、道内のいくつかの「秘境駅」が廃止されました。その廃止予定駅の中に小幌駅もあったのですが、全国からそれを惜しむ声が届き、豊浦町が維持管理をしていくということで廃止を免れました。

　こうした秘境駅のファンに、秘境駅の宝庫である留萌本線をアピールしていくのです。留萌本線が秘境駅の宝庫であるということは、今年の2月にJR北海道が発表したこの資料を見てもわかります。





　乗車人員1日平均1名以下という、いわば「駅としての存在理由がよくわからない」秘境駅が58箇所あります（3月のダイヤ改正で廃止された駅も含む）。

　そのうち留萌本線の駅は、留萌−増毛間も含めて10駅もあるんです。その半分である5駅は留萌−増毛間の廃止とともになくなってしまいますが、北一已、真布、峠下、幌糠、藤山の5駅はまだ存続します。

　深川から留萌まで、深川を除くと11駅ですが、そのうち半分近い5駅が1日平均の乗車人員が1名以下ですからね。さらに残る6駅のうち1日平均10名以下という「準秘境駅」も北秩父別、恵比島、大和田と3駅あります。まさしく秘境駅の宝庫です。

　これら秘境駅の存続も狙って、留萌本線秘境駅探訪ツアーを売り込んではいかがでしょうか。乗降場の待合室にスタンプを置いて全部集めてきたら秘境駅完踏証明書を出すのです。

　できればこれら秘境駅に何かストーリーも作って、それを追いながらスタンプラリーをするのも楽しいのではないでしょうか。スマホで二次元バーコードを読み込むとストーリーが出てくるとか。留萌本線にしかないものの魅力を思い切り前面に打ち出して、全国の鉄道ファンから注目されるような路線にして、なんとかして人を呼び込むことができないものでしょうかね。


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