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【4/10(日】アイノラ交響楽団第12回定期演奏会を聴く】 (2016-4-11 7:18:24)
前々から気になっていたアイノラ交響楽団、今回初めて聴くことができました。指揮は新田ユリさん(先生)。
この何年も、なかなか都合が合わなくて、ユリさんの指揮する演奏会を聴けなかったのですが、
ワグネルOBオケ、桐朋オケ、ハモン、そして今回のアイノラとこの1、2年で急にいろいろと聴くことができるようになりました。
今回、杉並公会堂に着くと、ホールの方とは別に、スタッフの名札をしたアイノラ響の受付担当の方々が
随所にいらして、年配のお客様への誘導、問い合わせなどに対応されていました。10数人いたと思います。
全く混乱もなく、ホール内へ。開演前のゴタゴタは演奏会への期待が台無しになるわけで、このような体制は
とても嬉しいです。
ホール内の飲食禁止や携帯電話のオフのお願い等は他のオケ同様にアナウンスされてましたが、更にしつこく
「飲食禁止」を繰り返しアナウンス。私は、「演奏中は飴も許さない!」という考えですので、嬉しかったです。
飴を食べる人がいると、甘い匂いとか漂ってくるし、時にはガリリ!って音が聞こえますからね。
そしてコンマスさんがご登場したわけですが、この方は恐らく真面目で誠実なお人柄だと思うのですが、
登場の仕方や一礼などが、ぎこちなく、もう少しメリハリを付けていただけると良かったなぁという印象を持ちました。
座るなら座る、立つなら立つ。
演奏後、ユリさんが受け取った花束からお花を1本、短めに折って渡してくれたのですが、うろたえて?それを床に
置いてアンコール曲の演奏。胸ポケットに挟んで演奏する位のおどけさが欲しかったです。
コンマスはオーケストラにとって演奏面の代表者であるわけで、ステージ脇から登場する、その瞬間から
そのオーラを発して欲しいです。
弾き方もやや縮こまってというか、少し硬さを感じました。豪快に弾くストバイ、3プル表の男性と対照的。
この3プル表の男性の方は、時に動き過ぎかな?と思う部分もありましたが、あの位弾いた方が、
私としては好みではありました。
オケの実力ですが、Vla、Vc、Cbの音色がとても良く(恐らく名手が何人もいるに違いない)、また管楽器群も
奮闘されていて、素敵なアンサンブルを繰り広げてくれました。
Vnにも上手な方はいましたが、もう少し!というところか。
前半に「春の歌」(初稿)、交響曲第5番(初稿1915)。休憩をはさみ後半が「吟遊詩人」、
交響曲第5番(最終稿1919)というプログラム。
今回、シベリウスの遺族の特別な許可を得て、第5番の初稿の演奏が可能になり、私は初めてそれに
接することができました(日本では過去2回しか演奏されず、今回はアマオケによる日本初演)。
第5番の初稿と最終稿の違いについては、配布プログラムに詳細解説がありますし、ネットでも同様に
詳しくまとめているところが少なからずあるので、関心ある方はいろいろお調べを。
私は今回、聴くにあたり、敢えてそのような情報は得ず、またプログラム解説文も鑑賞後に読むことにし、
全く「素」の状態で鑑賞することにしました。
実際、聴いてみると冒頭から驚く部分が多々ありました。時には最終稿と比べると、冗長だな?と思う部分も
あれば、最終稿ではカットされてしまったTpのきつい叫び音等の厳しい部分、あるいは弦の演奏法にも
少し違いがあり、1915-1919のたった4年間で、シベリウスがいろいろと模索していたんだろうなぁということを
強く感じることができました。
当然ながら新鮮な響きが次々と聞こえてくるので、身体が少し震えながらの鑑賞となりました。
シベリウスのヴァイオリン協奏曲の初稿のCDを初めて聴いた時の驚き・感動とほぼ一緒。
ブルックナーでいえば、第3番、第4番、第8番の稿の違いというよりは第1交響曲のリンツ稿と
ウィーン稿の違いのような(いや、それ以上!)。
こういう初稿を演奏する、しかもアマチュアオケで!という挑戦は、指揮者・団員共に相当苦労したのでは?
とも思いました。特に初稿は、いつも歩んでいる道とは異なる知らない道を選んで目的地に向かうようなものですから。
後半の最終稿による第5番も骨格がはっきりとした堂々たる演奏になりましたが、初稿・最終稿を演奏するというのは、
頭の切り替えも大変だったかもしれません。
こういう大きな挑戦を無事に成し遂げられたのは、このオケにとって大きな自信になったであろうことは間違いないと思います。
6連打後のフライングブラヴォーや拍手もなかったのが一安心。もうあと1秒、拍手は待って欲しかったですけど。
なお「春の歌」「吟遊詩人」、そしてアンコール2曲も精度が高い演奏でした。
特にこの4曲の中では私は「吟遊詩人」が特に名演だったと思います。第5番の初稿演奏が終わって、
いい意味で団員の緊張が少しほどけて、優雅さも加わっていました。
ユリさんの指揮ですが、この近年の印象同様に、その曲への自信の高さからか、あるいはこの音楽を紹介したい!
という強い気持ちからなのか、わかりませんが、以前にも増して、堂々たるものになってきたように思えます。
上手く書けませんし、失礼ながら記すと、指揮のスケール感が強く出て来たように思えます。
演奏後、自宅までの1時間半、素敵な余韻に浸れて帰れました。
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