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【第84回日本音楽コンクール講評(毎日新聞)を読む】 (2015-12-2 6:47:27)
毎年12月の朝刊に日コンの講評が掲載される。これが楽しみで、長年この日だけは毎日新聞を買う。
最近は電車内で新聞を広げる方も少なくなり、少し恥ずかしい雰囲気になってきた。
さて、今年の各部門、それぞれ審査員得点が掲載され、審査員を代表して1名が講評を寄せている。
声楽と作曲以外の部門は第3次予選の得点の60%が本選得点に加算される。
今回の各部門を見て、3次でトップだった人が本選で逆転されたのはトランペット部門のみ。
トランペット部門の本選課題曲はテレマンの協奏曲とジョリベ「コンチェルティーノ」の2曲
(2曲演奏)。ここで評価が分かれたのだろう。
Tpの審査員は飯塚、津樫、沸坂..を始めとした9名。
さて、その中で私はやはりヴァイオリン部門を熟読した。
このコンクールだが、ヴァイオリンを学ぶ学生達にとっては一番注目する国内のコンクールだが、
それと同時にその親も関心が高い。
予選会場に赴くと、出場者の親は当然ながら、出場者とは関係ないと思われる方々も多数聴きに来ているように思える。
本選は華やかだが、予選は本当に関心が強い方しか聴きに来ない。この予選を鑑賞するのが面白いのだ。
親のヴァイオリンへの関心度と子供のヴァイオリンの技量は多少ながらも相関関係にあると思う。
今年のヴァイオリン部門だが、私は3次(イサン・ユン「大王」とブラームスの2番ソナタ)と
本選を聴いたが、小川恭子さんの強さは確かに感じた。
彼女は去年は入選に留まったが、この1年で飛躍的に伸びた。
また何度も書いたが、メンデルスゾーンで優勝したというのは、このコンクールの最近の
現代曲挑戦傾向に一石を投じたとも思えた。
今年のヴァイオリン部門の審査員は、漆原(朝)、加藤、辰巳、玉井、徳永、野口(千)、
藤原、安永、渡辺(玲)の各先生方。
得点だが、まず3次予選得点×60%では、小川さんは94点を獲得。
他の3人は80点台だったわけで、いかに3次予選のイサン・ユンとブラームスが高く評価されたか
がわかる。彼女は3次では最後に演奏したが、確かに圧倒的な演奏で、これ以上何を求めたら?
という演奏だった。
本選での各審査員の得点だが、9人中8人が小川さんを最高得点とした。
唯一、加藤知子さんが、上野明子を最高得点としていた。
私は入選に留まった上野明子さんの演奏にも感動したのだが、審査員の評価は低かった(加藤さん以外)。
上野さんはチャイコフスキーを演奏したが、低く評価された部分は何だったのか?
全体講評は徳永先生が寄せている。非常に温かい文面で、本選に進めなかった方々への思いやり、
そして本選で奮闘した1人1人へもワンポイント助言を記している。徳永先生は上野さんに対しては、
技術的な安定さを望んでいた。とはいえ、将来への希望と期待が十分に持てるコンクールであったと結んでいる。
徳永先生を始めとした審査員達の期待に、皆さんぜひ応えて頑張って欲しいと思う。
小川恭子さんも、ここがまた新たな出発点として!
来年もまたこのコンクールを予選から聴きに行くつもりだ。
会田・大江・吉田・そして今年の小川と、ヴァイオリン部門では桐朋4連覇となったが、
今年の小林壱成さん(藝大)のチャイコフスキーも素晴らしかった。
大学を問わず、上手い人には精一杯の拍手を送りたい。
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