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全力を 出した証の 大失速〜第15回利尻島一周悠遊覧人G完走記7 (2015-6-17 21:38:18)
(7)ついにバッテリー切れ
とりあえず、3分くらい休もう。そして少しでも回復できたら、コースに戻ろう。そう思いながらパイプ椅子に腰をおろし、膝を伸ばしていました。
残すチェックポイントはあと3つ。そしてその先にはゴールがあります。前半のチェックポイントはおおむね5kmおきにありますが、後半はチェックポイント間の距離が短くなっています。ですからひとつひとつのチェックポイントを目標に進むこととします。もう時間の貯金はたっぷりあるからいつ歩いてもかまわない。そう思うと精神的にも楽です。
足の痛みも薄らいだように思えて、私はコースに復帰しました。しかし走り始めるとまた足の痛みが現れます。どうやら休んでも回復量はあまりないようです。でも残す距離は15km。ここまできたらだましだまし最後まで走りきりたいものです。もしも走りきれれば7時間そこそこ・・・もしかすると6時間台で走れるかもしれません。
でもコースは相変わらず単調です。7周目ともなるとそのことは十分にわかっていますから心も折れずに頑張れますが、今まで何度も心を挫かれた場所です。今年はほとんど歩いているのと変わらないスピードながらまだまだ走れています。
やがて42.195kmと書かれた看板が見えてきました。2年前までの記憶では、42kmと書かれた看板が何気なく設置されていただけだったような気がしますが、はっきりとマラソン地点を表示しています。ここからがウルトラマラソンの世界です。その看板のところで記念撮影をしているランナーもいましたが、こちらはなにしろスマホのバッテリー容量に不安があります。もうカメラを起動することができません。
15km以降は走れないかと思っていた私ですが、上り以外は走りながらマラソン地点を通過しました。月間60kmという練習量でこんなに走れるとは驚きです。しかし走る体ができていないだけに、そろそろ体は悲鳴を上げようとしています。
第10チェックポイントは43.9km地点です。第9チェックポイントから3.4kmしかありません。おかげでなんとか次のチェックポイントを目標にして頑張ることができます。ここから次の第11チェックポイントまでも4kmです。第10チェックポイントで一息ついて、4km先を目指してコースに復帰します。
一番怖いのは心が折れることです。歩くのと大して変わりないスピードまで落ちたとしても、心が折れていなければ短く感じます。ところが心が折れて歩いてしまうと、このあたりはとてつもなく長く感じます。
まもなく45kmの表示を目にします。時計を確認するとまだ6時間を切っています。この先10kmをしっかり走れば6時間台も可能かもしれませんが・・・この状態ではさすがに難しそうと思いました。記録が残っていない今、正確な通過タイムはわかりませんが、そう思ったことだけは覚えています。
45kmを過ぎると、これまで5kmおきに設置されていた距離表示が2kmおきとなります。いよいよレースも終盤にさしかかってきました。
47kmの表示を過ぎると前方に第11チェックポイントが見えてきます。このチェックポイントの先には野塚峠に向かう覆道が見えています。延々と上っているきつい箇所ですが、私としては堂々と歩くことができるありがたい箇所です。
第11チェックポイントに到着して一休みします。残すは7.5km。もう一息です。腰をおろしてゆっくり休み、この先への力を蓄えます。そして数分後、私は再びコースに戻りました。
覆道の入り口までゆっくりと走り、そこからは歩きに転じます。もしかすると走っているより歩く方が速いのではないかと思えるくらい軽快に歩くことができました。
覆道を抜けてからまたゆっくりと走り始めます。しかし体のダメージはもはや限界近くなっています。今までは足の痛みもあちこちと移動している感じでしたが、それらがまとまって一気に出てきました。そろそろ走るのもきつくなってきます。
そんなとき、49kmを通過したことを告げてまもないスマホが、突然振動をしました。あとから考えると、このとき完全にバッテリー切れとなり、シャットダウンをしたようです。最後までもってくれませんでした。そしてこの時点で、今回のレースのラップを知る術はなくなってしまいました。
上り坂を歩きながら野塚展望台にさしかかりました。ここには嘉永2年(1848年)にこの地に上陸したラナルド・マクドナルドの上陸記念碑があります。そのことは知識として知っていましたが、どこにあるのか確認して見たことはありませんでした。でも今年は気持ちの上では余裕があります。ようやくその現物をしっかりと目にしました。しかしスマホのバッテリー切れのため写真は撮れませんでした。
野塚展望台からは鴛泊のランドマークであるペシ岬も見えます。ようやく帰ってきました。ここまできたらもう一息です。
しかしこれまで何度もそう思い、何度もここから苦しんできました。「着いた」と思って一瞬気を緩めることがどんなに危険か、これまでも嫌というほどわかっているはずなのに・・・。
野塚展望台を越えると下り坂になります。私は走り出しました。ところが今までにない足の痛みと全身倦怠に襲われます。それに対抗してなんとか足を前に運びますが・・・。
ペシ岬を見た瞬間に、スマホとともに私のバッテリーも切れてしまったのかもしれません。
「ここまで頑張って走ってきたんだからもういいよ」
そんな心の囁きに従ってしまい、私はとうとう歩き出しました。(つづく)
(1)2年ぶりの利尻
(2)今年もうにぎり
(3)順調なすべり出し
(4)北のいつくしま弁天宮
(5)消耗が始まる
(6)休憩の連続
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