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戦艦武蔵が見つかった (2015-3-3 19:00:23)
シブヤン海で見つかったようだ。
戦艦武蔵に関しては、なんといっても吉村昭が著した、その名もズバリ!「戦艦武蔵」でこの巨艦の凄さを知った。
吉村の「漂流」に次いで何度も何百回も!読み直した作品であり、名著だと思う。
吉村は僅かに生き残った「武蔵」乗員に戦後、インタビューし、また三菱長崎造船所にも何十回と通い、当時の資料をかき集め、
まさに吉村ならではの客観的、淡々と書き連ねている小説だ。
吉村の作家人生のスタートはこの小説だ。これが評価されなかったら、小説家を諦めるしかないと覚悟の上の作品だった。
この書の冒頭では、まず棕櫚が市場から無くなるという奇怪な事件が記される。なんで棕櫚の縄が消えるのだろう??と
読み進めるとその意味がわかる。
「武蔵」が完成し、進水する時の記述はこの本の最初の頂点だ。「武蔵」が造船所から、スルスルと動きだし、湾に突入するや、
対岸の家屋にまで海水が押し寄せる。津波が起きたのだ。それほどの巨艦だということ。
また主砲発射訓練の描写も目に浮かびような書き方をしている。
「武蔵」の最期は悲しい。主砲を1発も敵艦に打ち込むことなく、魚雷・爆弾を30発以上受けて、シブヤン海に沈んでいく。
「謎の反転」で知られる栗田艦隊で「大和」等と共に出撃したのが最期だった。
吉村の著書とは別の話として、「武蔵」には浸水していない空間がかなりあり、海中を漂っているという凄い説が出た。
確かにシブヤン海の沈没地域では何度か探査が行われてきたのだが、今まで見つかっていなかった。
この奇説は真実味を増し、いつか「武蔵」は海流に乗って長崎に帰ってくるのでは?という話まで発展した。
当然無理な話だが、「武蔵」が見つかっていないということは、そういう話も感情的には私も信じたかった。
しかし、今日、「武蔵」がシブヤン海で発見された。今まで発見されなかったのは、それだけ海中捜索は困難だということだったのだろう。
今回、よく見つけてくれた!という気持がある一方、「武蔵」はやはりそこにいたのか..という落胆の気持ちもある。
私は長崎に行った時に、三菱長崎造船所の資料館を訪れた。そこには「戦艦武蔵」の写真が掲示されている。
有名な写真だが、この造船所資料館でその写真を見ると、感慨もひとしお。しばらく微動だにせず、この写真を見つめた。
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