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『「抗がん剤は効かない」の罪』 (2014-11-9 15:31:48)
勝俣範之 著
ミリオンセラーになっている近藤誠医師の本への反論の書。
実は私は近藤誠医師の本は、読んでいない。一部の内容には一理あるとは聞いているが、根本となる主張が、科学的な論拠からあまりに離れてしまっていて、ばかばかしくて読む気にはならない。一般常識では信じられないようなことがあるのが科学だが、長い年月をかけて多くの研究者が積み上げてきたデータと考え方を否定するには、科学的な根拠が必要だ。
本書での勝俣医師の論拠は明確で、これまで私が学んできた科学的考え方に沿ったもので、納得できる。しかも、単に病気のことだけではなく、人の気持ちや生活の質まで考えて対処しようとする患者思いの医師の姿が浮かび上がる。
副産物かもしれないが、この本を読むと、現在の抗がん剤治療の実際がかなりわかる。がんといっても多様な種類があること、がんによって効く薬が違うこと、分子標的薬のこと、副作用のこと。実際の状況ことを知ることこそが、近藤医師の意見のおかしさに気づくことになると思う。
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