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新都造営の経過(その2) (2015-1-2 0:59:16)
「その1」の記事以降、既に先月には新都は完成し遷都まで済んでいる。後追いになるが前回書ききれなかった事項を駆け足で記録。
土地の選択にあたっては、なるべく災害を避けることを念頭に置いた。市のハザードマップで浸水被害が予想されるところは外した。
難しかったのは地盤が強固なところを選ぶことである。阪神大震災でも、元が川や池だったところの被害が大きかったと聞く。古の人々はそうしたところを住居にするのは古来からの知恵で避けてきたそうだが、近代の宅地化はそうした区分けがまったくわからなくなるくらい、全てが住宅地になってしまった。そもそも大阪平野は元はすべて海の底だったのでどうしようもないのだが、たまたま今回選んだ土地は、地盤調査の結果杭打ちをしなくて済むレベルの強度があったようだ。ほんのすぐ近くにある当初の検討地点では杭打ちが必要になったそうだ。個人的な推測だが、今回の土地はわずかながら周りより高くなっていて、かつては自然堤防とか砂嘴、砂州等の比較的硬めの土地だったのかも知れない。
建てる住宅のコンセプトは、3つの大きなポイントを基本とした。一つ目は地震等の災害に強いこと、二つ目は断熱性が高いこと、三つ目は収納が多いことである。
一つ目の地震への備えについては、「制振テープ」の採用が大きな特色である。地震への耐性は、強度を上げること(耐震)、揺れにブレーキをかけること(制振)、揺れをいなすこと(免震)の大まかに3つの方法がある。耐震は、設定限界を超えると一気に壊れやすくなるという課題がある。免震は最も効果があるが、導入には非常に費用がかかるという課題がある。
制振を行う場合は、筋交いをダンパーにする制振ダンパーが知られているが、家の全てにそれを入れると費用が高くなってしまうので、一部に入れていくことになる。一方、制振テープはその名のとおり「制振」を目的としたごく薄いテープを、柱の部材と壁の部材の間に貼る、という何とも原始的で単純な方法である。こんなので揺れが防げるのか頼りないが、揺れた際に歪もうとする動きを熱エネルギーに変えることでブレーキをかけるのだそうだ。制振テープのの優れたところは、モノ自体はそれほど高価ではないので、家中のあらゆる壁に貼ることができ、家全体がダンパーとなるということである。先の制振ダンパーの方が当然制振する力は強いのだが、全ての壁に導入するわけにもいかないので、ダンパーのあるところとないところの差がかえって歪みを生むという恐れがある。というわけで、この度の新都では制振テープを採用した。増加した費用は坪単価で言えば1〜2万円程度のアップである。なお、耐震強度も3相当(証明までは取らず)のものとした。
二つ目の断熱性については、断熱材に発泡ウレタンを家中の壁に吹き付ける「アクアフォーム」の採用が特色である。この他、窓にはペアガラス・Low-Eを用いられた。このおかげなのかわからないが、以前の家では西日が酷くてエアコンなしには耐えられなかった真夏の夕方も、窓を開けて風を通すと、エアコンなしでも今のところ何とかしのげるぐらいの状況となっている。
三つ目の収納については、以前の集合住宅よりは広くなるので当然ではあるのだが、玄関収納、屋根裏部屋、台所のパントリー、床下収納と収納スペースをより多く取れるよう設計した。特にパントリーが良かったようで重宝している。
この他のポイントとしては、エコウィル(ガス発電機)の採用、将来の太陽光発電導入を視野に入れた南向け片流れの屋根、2階にもトイレ・洗面台を設置、ベランダをやや広めに取るといったものがある。