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おがまんの10大ニュース第4位 (2014-12-24 23:25:15)
手ごたえを はっきり感じた この5秒
北商ロードレース、北海道マラソンと復調の兆しが見える走りが続きました。この流れを確実のものとするためにハーフ1時間45分を切りたいと思って挑んだのが、ピパオイヘルシーロードレースでした。
ピパオイヘルシーロードレースという大会の存在は以前から聞いて知っていました。そのため何度かエントリーを考えたことはあります。他の仲間から聞いた情報では、
・コースは平坦
・距離表示と給水所は少ない
・農村地帯の直線路を走るきわめて単調なコース
といった感じで、ザ・ローカルレースという雰囲気の大会です。でもローカル大会でありながら、「美唄市ハーフマラソン」という公認ハーフの大会も同時開催となっているため、公認記録を狙った高速ランナーも大勢参加する大会です。
そういう2つの顔を持った大会ですが、今年は『ローカル大会に出よう』というテーマを持って走っている私には最適の大会と言えるでしょう。ということで、初めてエントリーしました。
さてレースの方ですが、スタートロスは約15秒でした。このスタートロスの少なさが、ローカル大会の大きな魅力でもあります。
私が立てた作戦はざっくりとしたものです。キロ5分平均で走り、最後の5kmでスパートして1時間45分を切る、というものです。前半は無理せずキロ5分で走り後半に余力を残す。そんな目標でスタートしました。
ところがスタート直後、どうにも体が重く感じてスピードに乗れません。それなのに1km地点で時計を見ると4分40秒でした。ペースが遅いと思ってもがいていたら、逆に想定より20秒も速くなってしまいました。
私はこのあとペースを落としてキロ5分と思えるペースで走ることにしました。やがて迎えた5km地点の通過タイムは24分30秒でした。
引き続き同じペースを保って、延々と直線が続く田園地帯の中をはしります。景色もまったく変わらず単調な直線です。10km地点の通過タイムは49分36秒でした。この間の5kmは25分06秒と、ほぼキロ5分のペースで走れています。予定通りの走りでした。
10?地点の先にある折り返し点を回り、往路と同じ道を引き返します。相変わらず単調ではありますが、往路をやってくる仲間のランナーとのエール交換もできます。私の前をペースメーカーのように走ってくれるランナーもいます。比較的走りやすい状態のまま復路を走りました。しかし復路に入ると徐々に体にダメージを感じ始めていました。
やがて迎えた15km地点を1時間14分30秒で通過しました。この間の5kmは24分54秒です。ここもほぼ想定通りのペースで通過しています。いよいよ1時間45分切りに向けて最後の仕上げです。残り6kmあまりをしっかりと走り切れば、結果はついてくるはずと思いましたが・・・。
残り5km地点で時計を見ると、時間は1時間20分を6〜7秒超えていました。残り5kmをキロ5分で走ると1時間45分を数秒超えてしまいます。早くこの6〜7秒の借金を完済し、キロ5分でも目標をクリアできる状態にしたい。それが次なる目標となりました。しかし体の方はそろそろ限界になっていました。
少しでも余力があるうちにと思い、ここからの1kmは全力に近い気持ちで走りました。そしてあと4kmの地点に到着します。時計は1時間25分を2〜3秒超えていました。あと3km地点は1時間30分を5〜6秒超えて通過しました。
さらに体は変調をきたし始めました。足が動かないどころではありません。全身が活動を停止したかのように、自分の意志が手足に伝わっていきません。もがくように手足を動かしますが、スピードが落ちているのは自分でもわかります。
しかしここで力尽きてしまっては、やり遂げられなかった後悔に襲われるでしょう。それは嫌です。私は動こうとしない手足を無理やり動かしました。
しかしやはりペースは落ちています。あと2kmの地点は1時間35分を12〜13秒ほどオーバーしていました。あんなに全力で走ったのに、またペースが落ちています。
20km地点の通過タイムは1時間39分47秒です。この間の5kmは25分17秒です。そしてあと1kmの地点を通過しました。時計は1時間40分15秒でした。
あと4分45秒。
無理だ・・・。全力で走っているのに、キロ5分を切ることすらできないのだから・・・。
だけどもうこれが最後のラップだ。あと1kmを全力で走ればそれで終わる。今はキロ5分を超えているとはいえ、その1kmに全力を注いでいるか?注いでいない。注いでいないからこそまだ走っていられるのだ。でも今度はすべてを注いでいい。ゴールしたら、もう1歩も走れなくなっていたっていい。だから今度こそこの1kmで自分のすべてを出し切ろう。
まるでギシギシと音をたてそうな関節を動かして、全力疾走を開始しました。体の動きは重いけど、スピードは上がっているように感じます。よし、大丈夫だ。これならいける。そう信じて走りました。
最後のコーナーを回ります。あと300mくらいと思っていましたが、あとから図上で計測したら400m以上ありました。残る時間は1分50秒です。はたして間に合うのか間に合わないのか全く計算できません。ただ間に合うと信じて走るのみです。
呼吸も苦しくなります。足ももつれそうになります。でも私の視線はゴールゲートだけを見つめています。絶対にうつむいたりしません。自分の残っている力をすべてここに注ぎます。
ゴールの直前に時計が設置されていました。チラッと見ると、まだ1時間44分50秒くらいを示していたように思います。
このタイムを見て確信しました。もう大丈夫です。間違いなく目標は達成できます。私は大きく両手を広げてとびきりの笑顔を浮かべてゴールに飛び込みました。
いつものように回れ右をしてお辞儀をしたものの、しばらくはその場から動けませんでした。ゴールの瞬間で、力を出し尽くしました。やがて重い足を引きずり、完走証を交付してもらいます。1時間44分55秒。たった5秒の目標クリアでした。しかしこの5秒はすごく重い5秒でした。
ゆっくりと足を引きずりながら体育館に向かいます。そのとき、不覚にも涙をこぼしてしまいました。完走して涙を流したのは、2003年の北海道マラソンで号泣したとき以来ではないでしょうか。サロマを完走したときでさえ涙はこぼれなかったというのに。
持っている力をすべて絞り出したという実感があったからでしょうか。力尽きそうになり、最後の1kmを迎えたときには絶体絶命の状況になりながら、そこから限界を超えたあの走りをできたことが、この涙につながったのでしょう。
タイムは自己ベストには遠く及びません。でも確実に復活に向けた手ごたえを感じました。なにより、最後まで粘り切る気持ちが復活してきました。
まだまだやれる。そんな確信を持つことのできたレースでした。
ということで、今年の第4位は、
手ごたえを はっきり感じた この5秒
(ピパオイヘルシーロードレースで4年ぶりの95分切り)