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【「佐村河内守 交響曲第1番」を聴く その3】 (2014-12-6 9:52:21)
この曲が広島とは何ら関係がなかったわけだが、当初は「現代典礼」という題名で佐村河内が新垣さんに例の「仕様書」を渡して作らせた。
ただ今回、聴いてみて、あまりこの仕様書通りに作られたようにも思えなかった。
ただ「現代典礼」という副題ということを意識して聴くと、この曲は理解しやすい。
「現代典礼」というと、オネゲルの交響曲第3番「典礼」を思い浮かぶが、このオネゲルの作品と形式が似ている。
共に3楽章形式。オネゲルのは第1楽章は「怒りの日」、第2楽章は「深淵」、第3楽章は「平和を」という題であり、
この「佐村河内 交響曲第1番」も全く同じ形式。
オネゲル第3番の第3楽章は不気味な形で進行し、曲は破滅の世界へ進みつつあるが、最後に安らぎというか祈りの主題が現れる。
「佐村河内」も全く同じ展開だ。
仕様書にはペンデレッキやオルフのような音楽を指示させているが、新垣さんは上記作曲家の音楽より、他の作曲家のテーマを
何度か出している(それゆえ、この曲はそもそも独立した存在感はないのだが)。
第1楽章の木管によって奏でられるバッハ風のコラール、第2楽章のトロンボーンによるコラールは、私は気に入った(^^;。
第2楽章には「トゥランガリーラ」からの引用もある。(この曲のラストも同曲からのコピーだろう)。
この曲というと第3楽章のラストのいわゆる「マーラー第3番」のフィナーレ部分がよく取り上げられたが、
私は第1楽章、第2楽章の方がかなり出来がいいというか、新垣さんはこの2つの楽章に自分自身をかなり投じたように思える。
私は、もし可能であれば、オネゲル第3番とこの「佐村河内」での演奏会を聴いてみたい。
多くの音楽家がこの曲を高く評価したが(まぁ、いろいろあっての高評価ということもあったと思う)、よくわからないのが、
ある指揮者が
「この曲、ベルリンフィルでやったら凄いね!」
という言葉だ。TVで何度か、「騒ぎ」の前に、同じ事をおっしゃっていたが、なぜベルリンフィルがやると凄いと思ったのか?
そこが何とも不明だ。
佐村河内については、もう少し書いてみる。次は弦楽四重奏曲第1番について。この曲は私は今回の第1交響曲より遙かに出来がいいと思う。
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