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10度目の ゴールは笑顔で LOVE&PEACE〜2014北海道マラソン完走記8 (2014-9-10 22:38:01)
(8)LOVE & PEACE
残り7kmあまりを約40分。それは今のペースで出せるかどうか計算できるような状態ではありません。ただサブフォーを断念しなければならないような状況ではないはずです。まだまだサブフォーを狙っていけるタイムのはずです。
私が最後にサブフォーを記録したのは、2011年11月の第1回神戸マラソンでした。このときは3時間59分55秒と、わずか5秒のサブフォーでした。北海道マラソンでのサブフォーとなると、2009年までさかのぼらなければなりません。4時間というラインが非常に遠くなり、今回のエントリー時に申告した2012年以降のベストタイムは4時間29分30秒です。
これだけ記録が落ちてきている私です。もしかするとこれが最後のサブフォーチャンスかもしれません。そう思うと、このチャンスを逃すわけにいきません。
そんな気迫が走りにも現れたようです。36kmのラップは5分21秒まで上げました。ここでこの底力を出せるなら、大丈夫、いける。自分を鼓舞しながら先を目指します。
給水所では1口か2口だけ口に含み、あとは体中にかけるようにしてきました。しかしこのあたりまで来ると、口に入れる量が増えてきました。体にかける分が残らず、コップの水をすべて飲み干すようになって来ました。体はかなりギリギリの状態になってきているようです。
意識も少し飛びかかっています。ただこちらは切れ目なく続く応援に助けられていました。力を振り絞って声援に応えることで、意識が朦朧とするのを防いでいました。
37kmのラップは5分36秒でした。若干ペースダウンをしましたが、許容範囲です。まもなくあと5kmと記された看板を通過しました。反射的に時計を見たのですが、4時間までは28分あまりあったように記憶しています。
よし!5分36秒のペースを守れば、だいたい4時間くらいでゴールできるはずだ。最後はまた神戸マラソンのときのように、ゴール前は全力疾走をすればいい。目の前にサブフォーが見えてきました。
ところがそんな気持ちとは裏腹に、体の隅々まで力が伝わらなくなったように感じ始めます。30km付近で感じた苦しさとは違う苦しさを全身に感じ始めます。
いや、正確に言うと苦しさを感じていたわけではありません。苦しさすら感じなくなっていました。ただ手も足も思うように動かなくなっていました。
新川通から北大構内を目指して左折します。そのあたりまでくると明らかに体が動かなくなっていることがわかりました。38kmのラップは5分54秒とかろうじて5分台をキープしていましたが、手も足も体も思うように動かなくなってしまった私には、もはやペースを上げることなどできませんでした。
今年こそ颯爽と母校を駆け抜けることができると思ったのに・・・。別に在学中のトラウマがあるわけではありませんが、毎年北大構内は苦しい走りになってしまいます。今年もその例に漏れませんでした。
30kmまでの快調さはどこへ行ったのでしょう。ついさきほどまでの気持ちはどこへ行ったのでしょう。いまはまるで別人のように、体中が私の意志に従うことを拒んでいるようです。そしてちょっとでも油断をすると私の意識すらもどこかへすっ飛んでいってしまいそうです。
もうサブフォーは諦めました。でもすべてを諦めるわけではありません。4時間は切れなくとも、最善を尽くすことはやめません。まだまだ私には目標が残っています。4時間15分を切ることと、歩かないことです。ここ2年、私は北大構内はほとんど歩いていました。でも今年は絶対に歩かないと決めています。ペースを落とそうが何をしようが、絶対に歩かずにゴールします。私はあらためて自分にそう言い聞かせました。
北大構内では仲間たちの応援もたくさんあります。そうした応援に覚醒をしながらゆっくりと走っていきました。39kmのラップは6分48秒まで落ちました。でももうラップはかまいません。あとはひたすら走るのみです。
ファンランを走り終えたなめさんが応援をしてくれていました。なめさんとは初対面ですが、私とおそろいのスライムをかぶっているからよくわかります。このときなめさんに撮ってもらった写真をあとからみると、顔は笑っているものの目はうつろになっていて、このときの状態がよくわかりました。
北大のメインストリートに入ると、こちらもファンランを走り終えたLRS北海道のrosehip
teaさんが手作りの応援グッズを持って声援を送ってくれます。ここでも力を振り絞って応援に応え、飛びそうな意識をこちらに引き寄せます。
やがて40kmを通過しました。タイムは3時間50分42秒です。40km地点を4時間以内に通過したのは5年ぶりではないでしょうか。この間の1kmは7分23秒かかりましたが、ゆっくりと走り続けています。この間の5kmは31分02秒かかっていますが、38kmまでは5分台をキープしていただけに極端なペースダウンには見えません。
あと2kmあまり。体はほとんど限界です。でもここまでの自分の頑張りに、気持ちは相変わらずハイなままです。ロータリーの地点でフォトサービスのカメラマンを見かけると大きく両手を広げて回りました。
北大を抜けて道庁赤レンガに向かいます。この間はたいした距離ではありません。元気なときなら、見る見るうちに近づいてくるはずです。ところがなかなか近づいてきません。41kmのラップは7分26秒です。ペースはどうやらこのあたりで落ち着いているようです。
やっとの思いで走っているような状態ですが、もう10分もしないうちに走ることをやめられます。
道庁内に入り、両側に詰めかけている応援の方々に手を振りながら通過します。そして道庁の出口に設けられている最終の打ち切りポイントを通過すると、残りはわずか600mです。
ところがこの600mが長い!道庁の南門を出てから大通公園までの間だけでも600m以上あるように思えます。最後の大通公園に入っても、ゴールゲートは遥か彼方にあります。
でもここまでくればもう大丈夫です。記録がかかっているわけでもありませんから、私はゆっくりとした足取りで沿道からの声援に応えながらゴールを目指します。
北海道マラソンでは3年ぶりに歩かずゴールします。サブフォーはできませんでしたが、2010年以降では間違いなくベストとなるタイムです。つまり北海道マラソンでの50代自己ベストです(笑)。
ゴールゲートが近づくにつれてタイムも見えてきます。どうやら4時間6分台でゴールできそうです。目標の4時間15分を大きく上回るタイムです。
北海道マラソンは厳しい暑さとの戦いです。でも同時に多くの方々が背中を押してくれる大会でもあります。給水などのボランティアをしながら声援してくれる皆さん、沿道から応援してくれる市民の皆さんや仲間たち、そしてランナーズアップデートを見ながら私を応援してくれる皆さん。そんな皆さんたちに背中を押してもらってのゴールです。
満面の笑みを浮かべていつものようにゴールゲートの手前で両手を天に向けて突き上げます。そして右手は親指と人差し指でLを、左手は人差し指と中指でVを作ります。このLOVE
&
PEACEのポーズでゴールゲートを通過します。そして数m過ぎてから、回れ右をして最敬礼です。大会を支えてくださる皆さんや私を応援してくださった皆さんへの感謝の気持ちを込めて。
そこで全身の力が抜けそうになりました。最後は失速してしまいましたが、今の持てる力はすべて出し切りました。ここ数年は不完全燃焼の走りでしたが、今年は完全燃焼しました。
さきほどまでは何とか走っていたのに、ゴールをして気が抜けると足を1歩前に運ぶだけでもものすごいパワーを要します。このままここでしばらく大の字になりたいところですが、そんなことをしたら即座に救護室に運ばれてしまいます。なんとか自分の足で歩いて進みました。
完走メダルを首にかけられ、フィニッシャータオルを受け取り、流れに沿って前に進みます。昨年は完走証を受け取るためにはるか遠くまで行かなければなりませんでした。でも今年は8丁目でゴールをして7丁目で完走証を受け取ることになっていて、動線はかなり改善されていました。
完走証に記されたタイムは4時間06分08秒。目標としていた4時間15分をクリアし、平均ラップも6分を切りました。
アイシングの氷を受け取り、5丁目会場で預けた荷物を受け取り、噴水に腰を下ろして休みます。すぐにはホテルにも戻れないくらい消耗していました。でもこれだけ消耗できたことがとても嬉しく感じていました。(つづく)
2013北海道マラソン
(1)今年もやっぱり珍道中?
(2)前日練習会
(3)カウントダウン
(4)順調なすべり出し
(5)不安になるほど順調
(6)気持ちはますますハイになり
(7)コーラで復活