（５）不安になるほど順調



　北海道マラソンの給水所はいつも緊張します。とりわけ序盤は走路自体も人が混雑した状態です。そのランナーたちが給水テーブルに殺到するのですから危険でさえあります。

　これでもまだ私が参加し始めたころよりはよくなりました。2003年当時は、私は関門ギリギリのランナーでした。ですから5kmの給水地点では紙コップがほとんどなくなっていました。そのため私は捨てられているコップを拾って給水を受けて水を飲みました。

　当時の給水地獄と比べたら、今は充実しています。ただし参加人数も増えていますから、これでも後方のランナーには給水が残っていないという給水所もあったようです。

　序盤の給水テーブルはやり過ごして、いくつか先のテーブルでルートが空いているところを探します。無事に水のコップを受け取り、のどを潤すとともに体にどんどんかけました。

　コースは下りとなっています。そのため少しずつペースも上がり始めました。6kmは5分27秒、7kmは5分23秒です。下りだからといってペースが上がりすぎるとオーバーペースになってしまいます。かといってここでペースを少し上げておかないとリズムに乗りづらくなります。昨年はここでもペースはまったく上がらず、新川通に入るとほぼ同時に苦しくなるという悲惨なレースでした。

　その点、ここまでは5分40秒余りのペースできて、下りに入ってから10秒〜20秒くらい速くなるという今年のペースは理想的ともいえるでしょう。ここまでは非常にうまく入れました。
8kmは5分40秒と少しペースが落ちましたが、体調的な問題があるわけじゃありません。相変わらず沿道からの応援には元気に応えていられますから。

　やがて創成トンネルに入ります。1km弱のトンネルですが、何もない閉鎖空間はとても長く感じます。ここも自分のペースをしっかりと守ることを意識して走ります。

　トンネルの出口が近づき時計を確認すると、すでに6分を過ぎています。9km表示を見逃したのでしょうか？いや、前方に9km表示が見えてきました。

　この間の1kmは6分半？そんなにペースが落ちたのか？いやいや、このコースの9km地点というのは毎年移動しています（笑）。一昨年の9km地点でのラップは3分台でしたから（笑）。だから今年は逆にこの間が長くなりすぎているのだろう。そう思うことにして、ペースはそのままで走りました。

　その判断は正解でした。10km地点のラップを確認すると4分台になっています。9km地点のラップを無視して考えると、キロ5分40秒ペースとなっています。あそこで慌てずペースを変えなかったことが正解でした。

　10km地点の通過タイムは1時間00分57秒でした。ネットタイムでは57分26秒と、理想的なペースです。この間の5kmは27分51秒と、もしもサブフォーを狙おうというならもう1分くらい速く走りたいところでしたが、4時間15分を目標とするならまったく文句のないペースです。

　やがてコースは左折します。昨年から変更となったコースです。フルマラソンは右側、ファンランは左側のコースをとります。そのためコース幅は狭くなります。10kmを過ぎてもなかなか自分の思うようなコース取りで走ることができません。

　ゴールに向かうファンランコースと別れ、北大の南側を通りすぎ、やがて北に向かいます。まだまだこのあたりは力を蓄えながら走らねばなりません。11kmは5分46秒で通過しました。

　10kmを過ぎて体の動きがよくなってきました。さらに周囲の流れも自分のペースに合ってきて、走りやすくなってきました。そのため沿道からの声援を受けて「ありがとう」と応えると、自然とペースを上げられるようになってきました。おかげで12kmは5分28秒、13kmは5分31秒、14kmは5分16秒と、ペースが上がってきました。いい感じです。実にいい感じです。

　復路の給水所も準備はできているようです。その給水スタッフの皆さんは、我々往路のランナーにも大声で声援を送ってくれます。中には数名で揃ってパフォーマンスを見せてくれる人たちもいます。こうして大会を支えてくれる方たちの姿を見ると、自分も最高のパフォーマンスで応えたいという強い気持ちが湧いてきます。

　そればかりではありません。私のブログの読者の皆さん。ランナーズアップデートで私の記録をチェックしながら応援してくれる皆さん。この場にいなくともそうして応援してくれる皆さんがいます。そんな皆さんにも最高の走りで応えたいと思います。

　15km地点は5分34秒で通過しました。この間の5?は27分35秒。またちょっと速くなりました。順調です。体調も含めて極めて順調です。こんなに順調だと、何か事件が起きてしまいそうで不安になるほど順調でした。（つづく）


2010北海道マラソン



（１）今年もやっぱり珍道中？
（２）前日練習会
（３）カウントダウン
（４）順調なすべり出し