（２）ベストポジション

　ひまわりが満開の時期ならば眺めもよくとても気持ちの良いコースだったことでしょう。しかし今年は1週間〜2週間くらい前が満開だったそうで、すでにどの花も深々とお辞儀をしています。



　空はどんよりと曇り、雨が降ったりやんだりしています。ウェアにナンバーカードをつけたり着替えをしたりしなければなりませんが、更衣室や更衣テントは見当たりません。まあローカル大会にはよくあることです。こんなときのために更衣用のテントも用意してきています。

　車の中で着替えることも考えましたが、狭い軽自動車の中で着替えていると走る前からあちこち攣ってしまいそうです。ひまわり観光センターのアリーナ内で着替えることにしました。

　ところがランニング用の5本指ソックスが見当たりません。ちゃんとランニング用のウェアは準備したはずなのに・・・。7月のオロロンライン全道マラソンに参加するためにウェア類をランドリーバッグに入れておきました。でもオロロンライン全道マラソンも、次走に予定していたなよろひまわりリレーランもDNSとなったため、そのバッグはそのままになっていました。だからそれをそのまま持ってきたのですが・・・。

　考えてみればレース用のウェアは大会でしか着ることはありません。でもランニング用の5本指ソックスは3セットしか持っていないため、レース・練習を問わず履いています。だからDNSとなった時点でソックスだけはバッグから出して練習でも使っていたのでした。バッグの中身を確認せずに持ってきたことが忘れた原因です。

　さらに荷物をコンパクトにするためいろいろ置いてきたものもあります。その中には靴擦れやマメを予防するために塗りこむムースも入っていました。せめてこれがあればソックスを忘れても影響を最小限に食い止められるのですが・・・。

　だけど忘れたのがソックスでまだ助かりました。他のものなら代替はききませんが、ソックスならば普段履きのソックスでも走れないことはないでしょう。そんな甘い考えでいました。

　着替えたり会場内をうろうろしたりしていると、わずか400名あまりしか参加していないローカル大会なのに、次々と知り合いのランナーと会います。facebookでつながっている後藤さんとは初対面でした。



　そのほかにもsibaさんご夫妻や、みくRUN白石のこまっちさん、どらえっこさん、SRC904のチタンさん、楽走412旭川のkatoさんら、そうそうたる顔ぶれとお会いしました。



　走る準備を終えてから途中のコンビニで買ってきた朝食を済ませます。

　まもなく開会式が始まるというアナウンスがありました。開会式ではゲストランナーの赤羽さんの挨拶もあるでしょうし、終了後は赤羽さんとともに記念撮影もあります。希望者には送料込み100円で送ってくれるとのことで、申し込みも済ませています。いいポジションで写らねばなりません。

　開会式は芝生の上に整列です。もうすでに人が集まっています。でも遠慮深い人が多いのか、最前列中央付近はぽっかりと開いています。私はためらわずにそこに並びました。

　ここでひとつ問題がありました。朝から雨が降ったりやんだりを繰り返しているため、地面はけっこう濡れています。すでにレース用の靴に替えている私。少し靴が湿ってきたことを感じます。雨模様という条件を考えると、靴の履き替えはもっと後の方がよかったかもしれません。でももう履き替えに戻る時間はありません。

　やがて開会式が始まりました。大会長や町長の挨拶などが過ぎていきますが、途中で地元の米をPRするご当地戦隊の名前を忘れるなど、実にゆるい雰囲気で進んでいきます。これがローカル大会の醍醐味です。

　やがてゲストランナーの赤羽有紀子さんが紹介され、挨拶をされました。



　最前列なので写真も撮りやすいです。

　開会式が終わってからは記念撮影です。赤羽さんもやってきて列に加わりますが、私の隣に入ってくれました。早速ご挨拶をします。

　「赤羽さん、お久しぶりです。Ogamanです」

　「えー、お久しぶりです。今度、芳賀にも来てくれるんですね」

　はい、事前に赤羽さんのブログにも書き込んでPRしておきました（笑）。

　近くで写真に写ろうと狙っていましたが、まさかこうも見事にベストポジションに納まるとは思いませんでした。まったく今日はついています。



　写真を撮り終えると、

　「レース後はサイン会も参加します」

　とご挨拶をして別れました。

　それから最後のトイレを済ませ、出走準備完了です。スマホも車の中に置き、スタート10分くらい前にスタート地点に行きました。別に前からスタートする必要はありません。後方から無理のないペースで行こうという作戦です。だから隊列の後ろの方につけました。

　ところがこのあたりから雨が降り出します。先ほどまでも小雨が降ったりやんだりしていましたが、今度は小雨どころではありません。かなり大粒の雨がぼたぼたと降ってきました。

　家を出る前にこの雨が降っていたら出場をためらったかとも思えるくらいの雨です。でもスタートラインに並んでしまっているからには・・・いまさらやめられません。

　おかしいな・・・今日はついているはずなのに・・・。それでも苦手な雨に打たれている割にはテンションが下がることもありません。

　「スタート10秒前」

　カウントダウンを告げるアナウンスが、いよいよスタート間近であることを告げました。（つづく）


（１）幸先の良いすべり出し