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link くりりんの問わず語り くりりんの問わず語り (2019-2-16 23:00:01)

feed 寿命とは (2014-3-7 23:59:53)

今朝、祖母が亡くなった。95歳だった。十分大往生と言えるだろう。転倒して頭を打つということがなければもっと長生きできたかもしれない。惜しむらくは、自分の結婚式の際には、もはや高齢過ぎて披露宴が欠席だったこと、子供(祖母から見れば曾孫)が産まれて、機会があれば顔見せに行こうと思いつつ、なかなか機会のないままで、先日倒れたと聞いて急いで妻子を連れて見舞いに行くも、既に昏睡状態で意識はなく、それが最初で最後の顔合わせとなってしまったことである。

ここで思ったのは、そもそもなぜ生物は死が避けられないのか、ということだ。逆説的に言えば、死がない生物もいる。例えば単細胞で分裂を繰り返す大腸菌の類だ。確かに、エサがなくなったり、物理的に潰されたり、熱に曝されたりすればさすがに死ぬ。ただ、それは事故死であって寿命ではない。彼等は適当なタイミングで細胞分裂を行い、全く同じ遺伝子の個体が延々と増え続けるので、寿命と言う概念がない。

しかし、この場合全く同じ遺伝子の個体が繰り返し生産され、極まれに起きる突然変異以外には変化することがない。環境がよければそれで問題ないが、棲みづらい状況に変わった時に対応できなければ全滅の恐れもある。また、細胞の遺伝子は紫外線などの影響で徐々に傷つき、情報が劣化していく。細胞分裂は単にコピーを繰り返すだけなので、何回もコピーを繰り返した文書が読みにくくなるのと同様、遺伝子も劣化していく。

そこで生物が生み出したシステムが「性」である。オスとメスに性を別け、子供を産めるのはメスだけにし、オスは遺伝子をシャッフルするためだけのリザーブとしたのだ。これにより、一回代替わりするだけで半分の遺伝子が入れ替わり、また外的損傷もリフレッシュされる。さらに、遺伝子の組み合わせは何万何億通りというバリエーションとなるため、例えば寒さに強い、特定の病気に耐性がある、といった特性が突然変異に比べて高い確率で得るチャンスが出てくる。有性生殖により、生物は飛躍的に進化を遂げた。

その代償として個々の生物には寿命が出来た。というのも、単純に分裂するだけの単細胞生物は遺伝子が乗る染色体の配列が環状であるのに対して、有性生殖する生物は2つの異なる遺伝子をミックスする際に位置決めが必要なため、棒状の配列となり、染色体に端が出来た。この端の部分が、細胞分裂を繰り返す際に少しずつ削れていく。それを見越して、本体の遺伝子には影響しないよう、端の方には無意味な配列の繰り返し(テロメア)が埋め込まれている。しかしそれも無限にあるわけではないので、やがて削りしろがなくなった細胞は、それ以上分裂できなくなる。新たな細胞を増やせなくなった生物本体は、死を迎える。これは事故ではなく、予定された死、つまり寿命である。生物は、自らの個体の寿命が来るまでに、他の個体と遺伝子を分け合って、自分の遺伝子を半分受け継いだ子を遺す。自分のコピーではなく、さらに優れた遺伝子へ進化する可能性の方に賭けたのだ。

従って、個々の生物個体で見れば有限の生だが、遺伝子のリレーとして見れば無限に続く生である。しかも代替わりするたびに大変化を遂げるチャンス付きである。仏教で言う「輪廻転生」とはまさにこのことを示唆しているのではないかと思う。健康長寿は結構だが、不老不死というのは、遺伝子的にはお門違いということになる。不老不死が望みならば、無性生殖の単細胞生物に戻るしかない。

というわけで、祖母の死は悲しい出来事ではあるが、十分に天寿をまっとうし、その遺伝子が我々に受け継がれていることは、大きい目で見れば祖母は我々の中に生きているのであり、有難いことでもあると言える。祖母の遺伝子の4分の1を自分は引き継ぎ、さらに8分の1を我が子に受け渡した。割合はどんどん薄くなってしまうが、それは我々の生命がそのような戦略を取った以上避けられないことだ。母方の祖母の家系は長生きのようで、祖母の母親、つまり自分から見たら曾祖母もかなりの大往生で、自分が小学校の時に葬式に参じた記憶がある。健康長寿の特性を持つ遺伝子が、我が子にも受け継がれていれば幸いである。



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