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【読響、山田和樹 指揮・Cm:日下・SoloHn:山岸で「英雄の生涯」を聴く】 (2014-2-28 7:34:06)
2/27 池袋.東京芸術劇場で鑑賞(2/28本日はサントリーで同プログラムで行われます)。
「英雄」「英雄の生涯」。
山田和樹さんの指揮に接するのは2回目。前回は約10年前。
彼がブザンソンで優勝する数年前。私の知り合いの教授が顧問を勤める日本大学管弦楽団の演奏会で接しました。
2年前のサイトウキネンでの「ジャンヌダルク」をTVで見て、感銘を覚え、また今回の指揮を見て、
当時の破天荒さは消え、すっきりとした指揮、更にはオケに自由に奏でさせているような雰囲気を醸し出し、
別人のようになっていて、驚きました。
「英雄」は反復無し。また1mvでの後半の主題展開部では、Tpは主題吹奏は譜面通りに途中で消失するという演奏。全体に爽やかな演奏でした。
この曲が前プロというのも凄い話です。確か昔、パリ管を聴いた時も「英雄」が前プロでした(後半が「春の祭典」!)。
後半は「英雄の生涯」。今月はこの曲にこれで3回も実演に接します。藤原浜雄さんのソロでの演奏会、そしてシンフォニカの演奏会、そして読響。
冒頭から早めのテンポ。私はこの「英雄」の主題はやや遅めで堂々と演奏されるのが好きなだけに、若干残念でした。
しかし、その後は要所要所でテンポをかなり変えて十分、楽しめる演奏になりました。
日下さんはベルリンでもコンミスを経験しているものの、この曲のソロを弾くのは今回が初とのこと。
私は日下さんは、今でもソロの演奏家というイメージが強く(リサイタル等も聴いています)、
彼女がコンミスというのは、まだ正直なところ、しっくり来ません。これから慣れていくと思いますけど。
この曲のソロでの彼女の弾き方(解釈ですが)はかなり個性的。前衛的というか、何となく現代音楽のように弾く時もあれば、
極力、音量を小さくしてか細く弾いたり、テンポを途中で変えたり等、この「伴侶」を持つ夫は大変だ!!と思うほどでした。
しかし、最後、英雄が亡くなる時は、あたかも手を握って涙を浮かべながら看取っているようなそんな弾き方をされていました。
そして何と言ってもソロHnの山岸さんの素晴らしさです。今夜のサントリーでの公演で、定年退職とのこと。
約30年、読響のソロHn奏者としてご活躍されました。長年、私の師と時には隣同士に座り、演奏していました。
私が初めて山岸さんのHnを聴いたのは、氏が帰国間もない頃の、読響演奏会。
配布プログラムに、ソロホルン奏者に就任という記事があったのを覚えています。
日本人初の管楽器奏者としてバイロイト祝祭管弦楽団でも活躍など、その実績は相当なもの。
ブルックナー、マーラーでも山岸さんのHnはお見事でした。
今回も感じたのですが、山岸さんは、ソロの直前でも全く微動だにしません、
プロならば当然かと思うのですが、プロでも中には若干、そわそわする方も見受けられます。山岸さんはいつも平常心。
椅子に深く座って、平然と吹きます。全然、不安要素無し。
今回も冒頭から最後までお見事。「英雄の生涯」のラストなんて、ソロHnは一音でも音程が僅かでも狂ったら、大変。
しかし日下さんとの合わせは本当にお見事。この部分を聴きながら、この30年余り、読響を聴いてきた時の思い出等も一気に表出し、
山岸さんのホルンも聴き納めかと思うとちょっと涙が出て、最後は天井を見上げながら聴き終えました。
聴衆も素晴らしかった。最後の音が消えてもしばし沈黙。5秒位は完全なる静寂。そして拍手が始まりました。私は聴衆にも拍手をしました!
山岸さん、お疲れ様でした。昨年からコンミスに就任した日下さんに読響の今後を託し、名Hn奏者が読響を去ります。
山岸さんには日下さんよりも拍手が多かったです。Hnパートも足を慣らしていました。
開演前に「山岸さん、最後って聴いたから聴きに来たんだ」等の会話も耳にしました。
皆に愛される音楽家は幸せですね。今後は後進指導、そしてソロ活動等もされると思います。新たなご活躍を祈念します。
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