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link Road to SAROMAN BLUE Road to SAROMAN BLUE (2024-10-10 15:00:05)

feed 情緒的と合理的 (2013-12-4 22:59:36)

 昼のブログで「根雪(ねゆき)」のことを書いていてふと思いました。気象用語って、私たちが日ごろ使っている用語と違うことが多いな、って。

 昼にも書きましたが、「根雪」は正式な気象用語では「長期積雪」といいます。

 以前もこのブログで紹介した現象に、「けあらし」というものがあります。これはこれからの留萌で多く見られる現象ですが、冷え込みの厳しい日に海面に湯気のように発生します。海面から湯気のように水蒸気が上がるため、その動画を見ると暖かそうに思えるかもしれませんが、海水よりも気温の方が極端に低くなるため(温度差が15度以上のときに発生することが多いそうです)「けあらし」は寒い朝に発生します。



 しかしこの「けあらし」も俗称(北海道方言)で、気象用語では「蒸気霧」というそうです。

 「根雪」も「けあらし」もなんとなく情緒を感じる言葉です。これが「長期積雪」とか「蒸気霧」になっちゃうと味も素っ気もありません。「根雪」や「けあらし」は文学作品の中にも出てきそうですが、「長期積雪」とか「蒸気霧」ならば私だって使いたくありません(笑)。

 でもそうした気象用語を批判するつもりは毛頭ありません。逆に「根雪」とか「けあらし」では、それらがどういうことをさすのか、初めて聞いた人にはとてもわかりづらいと思います。その一方で、「長期積雪」とか「蒸気霧」であれば、詳しい定義はわからなくともなんとなくイメージできるのではないでしょうか。その言葉からどういうものかを伝えるという役目をこうした気象用語は果たしていると思います。どういう場面でどういう目的で使われるかによって、それぞれの言葉の役割があるのですね。

 「根雪」や「けあらし」を情緒的表現とするならば、「長期積雪」や「蒸気霧」は合理的表現とでも言いましょうか。

 そんなことを考えていたら、突然まったく違うことを考え始めていました。なにかというと、住所のことです。気象用語から住所にすっ飛んでしまいました。

 というのも、住居表示についても情緒的表現と合理的表現がありますよね。北海道でも札幌や旭川の中心部は○条△丁目となっています。街並みが碁盤の目に整備されているので、初めて訪れても住所さえわかっていればどうにかたどりつけます。これなどは合理的表現ですね。

 ところが私の住む留萌市はそのような合理的表現になっていません。市街地の中心部を含め、○○町△丁目という住居表示になっています。私の住む沖見町は、海を見下ろしているので「沖見町」というのでしょうね、きっと。

 他に留萌の町名を見ていくと、いろいろな町名があります。一部をあげると明元町、五十嵐町、開運町、塩見町、瀬越町、潮静、船場町、見晴町、礼受町などなど。風情を感じる町名もいろいろあって情緒的表現と言えますね。ただしどの町がどのあたりなのか、留萌に3年近く暮らしていますがまだ正確に把握していません。

 どちらがいいかは一概に決められませんが、流れとしては昔ながらの情緒的表現の町名を「わかりづらい」という理由から合理的表現に変更するという方向なのだろうと思います。わからないでもありませんが、ちょっと寂しいですね。

 でもそんな中で以前テレビで見た面白い話を思い出しました。

 今年の2月に熊本城マラソンに出場しましたが、そのちょっと前、2月6日にBS朝日の「城下町へ行こう」で熊本が放送されました。事前に熊本の情報を仕入れたかった私はしっかりと見ました。その中で大変面白いエピソードが紹介されていました。

 昔の名残を残している古町地区であるとき町名を変更しようとしたそうです。そうしたところ地元の住民が猛反対!その理由が、お前ら役人が加藤清正公より偉いわけじゃあるまいし、なぜ清正公が決めた町名を変更しなければならないのか、ということだったそうです。いかに清正公が今でも愛されているかというエピソードですね。

$Road to SAROMAN BLUE-TS3V0012.jpg


 またその町名もいいですね。米屋町、呉服町、細工町、鍛冶屋町、魚屋町、古大工町などなど。今からは絶対につけられない町名ですよ、これは。さすがに400年の歴史の重みを感じさせます。

 しかも町と町の境界線の引き方が現代とは違います。道路や川で区切るのではなく、道を挟んだ両側が同じ町となっています。だから町の境界線がどこなのか、私たちよそ者にはよくわかりません。実にわかりづらい街です。でも本当に風情を感じる街です。

 なにがなんでも効率重視の世の中じゃつまらないです。こうした古きよきものはいつまでも残していただきたいと思います。滞在していた日数はわずかでしたが、熊本という街からはそこに住んでいる皆さんが愛して作り上げている街という魅力をたっぷりと感じてきました。それだけにまた訪れて、まだ見ていない場所もじっくりと見てきたいと思います。

 根雪の話から最後は熊本の話まで飛んでしまいましたが、お付き合いいただきありがとうございます。



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