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クドカンにシャッポを脱ぐ (2013-9-25 21:55:13)
半沢直樹も終わり、そして今週はあまちゃんのラストウイーク。最終回は28日ですが、今週に入ってから毎日ほろりとさせられています。毎日が最終回という感覚です。まったくドラマっていうのは脚本のよしあしとキャストが大きく影響しますね。つくづく思わされました。
今日はもうネット上でも大賑わいになっていますが、鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)が歌った潮騒のメモリーに尽きるでしょう。
この曲、移ろいやすい音程の持ち主である鈴鹿ひろ美の影武者となった天野春子(小泉今日子)が歌ってヒットしたという設定になっていますが、そのためここまでの番組内では薬師丸ひろ子さんの歌を聴けなかったのです。キョンキョンは何度か潮騒のメモリーを歌いましたが。
ところが今日はついに鈴鹿ひろ美が歌いました。しかも春子がまた影武者をしようとしたのに、マイクの電池を飛ばしてしまってできなかったというオマケ付きで。
ところが歌いだした鈴鹿さんは完璧に歌います。練習中にたまに当たるという伏線も張られていましたので、どうやらうまく当ったようです。ようやくあまちゃんの中で初めて流れた薬師丸ひろ子の歌声は、昔のままでした。これも私たちの年代の視聴者にはたまらなかったです。ここまでおあずけを食っていたようなものですから、よけい嬉しかったです。
この潮騒のメモリーは、すでに天野春子(小泉今日子)名義でCD化されています。私も早速買いました。でもこの曲に対する批判の声も目にしました。80年代っぽい曲にそれらしい歌詞をつけているけど、最後の「三途の川のマーメイド 友達少ないマーメイド」とはなんだ?歌詞の内容がひどすぎる、と。
たしかに私もこの部分の歌詞には疑問を感じていました。歌詞をずっと見てきて、どうしてここで三途の川が出てくるんだろう?どうして友達少ないんだろう?と、どうしてこの歌詞にたどり着くのかわからなかったのです。
だけど・・・これがクドカンワールドなんですね。
この部分の歌詞を変えたいとこだわりを見せていた鈴鹿さん。北三陸入りしてからずっと気にしていました。それは開演30分前になってもそうでした。だけどどうしても思いつかない様子で、まわりから三度の飯とか三段腹とかアイデアを出されます。そして鈴鹿さんは「三段腹」とつぶやいたように聞こえたのでドキッとしたのですが・・・。
なんと歌うか耳をそばだてていたら、
「三代前からマーメイド 親譲りのマーメイド」
ですよ。
やられた〜!
すべてはこのための伏線だったのですね。そのためにわざわざ三途の川などというとんでもない歌詞にしていたのですね。
しかもこれを聴いていた海女さんたち。かつ枝さん(あるいは美寿々さん?)がつぶやいたのだと思いましたが、
「あの野郎、さては最初っから決めていたな」
という一言。それこそこの瞬間多くの視聴者がクドカンに対して感じていたことではないでしょうか。そんな気持ちをここで代弁させるなんて、本当に「してやられた」の一言に尽きます。
この歌詞、こう変えただけですべてがしっかりつながるじゃないですか。最初からここまで計算されつくしていたのですね。先日、あまちゃんの続編が熱望されていることに「今は『やりきった』という思いが強いから、続きを書きたいとは思わない」とクドカンが否定的に話したという記事が出ていましたが、わかりますね。ここまで周到に計算されつくして書かれた脚本って、作り上げるエネルギーは半端なものじゃないと思います。おいそれと続編を書きますとは言えないでしょうね。あまちゃんファンとしては、また北三陸の皆さんの姿を見たいと思いますが。
残すところはあと3回。この3回の最終回を楽しもうと思います。
鈴鹿さんが歌い終えて春子を見たとき、「カ・イ・カ・ン」と言うのではないかと思っちゃいました(笑)。