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レース後の 輝く夜に 君がいる〜2013北海道マラソン完走記9 (2013-9-6 21:49:52)
(9)再会
ゆっくり走って足や腰の痛みが増してくると歩きます。でも沿道には大勢の応援の方がいますから、恥ずかしくて歩いてばかりいられません。少し回復してくるとまた走り出します。左の腰と右は膝とふくらはぎ。これに加えてマメができ始めた左足裏もジンジンと痛み始めました。34kmのラップは7分29秒でした。
沿道から応援の声がかかるとできるだけ応えながら走っていました。すると「Ogamanさん」と声をかけてくれた人がいました。
「ランマツです」
その声に思わず私は足を止めてしまいました。2002年にインターネットの世界にデビューして、初めて「ネットランナー」の皆さんとお会いしたのが伊達ハーフマラソンでした。そのときに初めてお会いしたご夫妻です。北海道マラソンもともに戦いましたし、初めてのサロマに臨むときはランマツさんご夫妻が押さえていたホテルに泊めてもらい、行き帰りも現地での移動も行動をともにしました。チームランマツにも「ランマツ6号」として加えていただきました。
その後北海道を離れられたため、もう何年もお会いしていませんでした。本当に久しぶりの再会です。声をかけるだけで走り去るなんてできませんでした。
「制限時間が延びてくれたおかげでまだ走っていられます」
ランマツ1号さんとしっかり握手をしながら少しお話をしました。別れ際にゼリーをいただき、戦列復帰です。
35kmのラップは8分12秒でした。立ち話をした分でしょうか、また8分台になってしまいました。ここまで3時間34分58秒。この間の5kmは38分23秒もかかっています。30kmを過ぎてからは急激にペースが落ちてしまったことが明らかです。
JR学園都市線の高架付近で応援してくれていたツキスミさんに応え、新琴似2条通から琴似栄町通に入ります。ここから新川通までたいして距離はありませんが、すでに消耗しきった私にはとてつもなく長く感じます。
途中左手にあるGSは、昨年トイレに立ち寄ったところです。昨年はその隙にHITOMIさんに抜かれてしまいました。今年も新川通の折り返しで確認したときはけっこう大きな差がついていました。でもその後の大失速で今年も追いつかれてしまうかもしれません。また集合時間の直前まで並んでトイレを済ませてきた効果か、まだトイレに行きたいというほどではありません。私はそのまま通過しました。
36km地点を通過します。通過したことはしっかりと覚えています。でもラップを取るのを忘れてしまいました。走るだけで精一杯となり、他のことには考えが行き届かなくなってきました。
37km地点を通過します。この間の2kmは15分20秒ですから、1kmあたりにすると7分40秒です。かろうじて7分台をキープしているようです。あと5km地点を通過して、ようやく完走できそうだという手ごたえを感じ始めました。ここまで3時間50分あまり。残りすべてを歩いたとしても制限時間内にゴールはできるでしょう。でも今は疲れきっているがゆえに一刻も早く休みたいという気持ちが強くなっています。そのためにはできるだけ走って少しでも早くゴールしなければなりません。残りをすべて歩くということは、この苦しい時間がまだまだしばらく続くということです。それは絶対に嫌です。
このあたりまでくると、古傷の右足首にまで痛みが出始めました。もう笑うしかありません。足も腰もあちこちが痛くなり、右足と左足のどちらを引きずったら楽に走れるのかも何もわかりません。
やがて武蔵女子短期大学前を通過します。昨年まではここを走るのは復路だけでしたが、コース変更により今年からは往路も復路もここを通過するようになりました。沿道には女子学生が並んでハイタッチをしてくれています。
こんなおっさんが汗まみれの手でハイタッチをしてもいいのだろうかと思いましたが、同時に左手をランパンでごしごしと拭いてハイタッチをする準備をしていた私でした。そしてハイタッチをして通過するときだけは前のランナーに合わせてペースを上げたのは、男の見栄だったかもしれません。
そこを通過するとまた走るペースは元に戻ります。ゆっくりと足を前に運びながら新川通を左折して北大に向かいます。
38kmのラップは7分36秒でした。ハイタッチのおかげで少しペースが上がったのかもしれません。でもこのあたりまで来ると走っているのがかなりつらくなってきました。ここまでは走る合間に歩きをはさむというイメージでやってきました。ところが今はなかなか走ることができなくなってしまいました。走り出してもすぐに歩くようになってしまいました。歩く合間に走るという感じです。わずか3〜4kmの距離が絶望的な長さにも感じてしまいます。
まだ関門制限時間の余裕もあり、残る距離は4kmを切っています。普通に考えればリタイアするなんてありえない状況です。ところがひとつ間違うと足がまったく出なくなりリタイアしたいという誘惑に負けてしまいそうな状態です。
でももちろんリタイアなどという言葉は意識の片隅にもありません。走れなくなったら歩けばいい。ときおり膝に手をついて休みながらも、とにかく足を互い違いに前に運びます。
39kmのラップは9分16秒と、大きく落ちました。このままコース脇に大の字になって寝転がりたい。そんな考えも頭を過ぎるようになってきました。(つづく)
(1)チャレンジ
(2)対決前夜
(3)青い空と黒い雲
(4)隙間がない
(5)許容範囲
(6)併走
(7)5分台を維持
(8)ゲリラ豪雨
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