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レース後の 輝く夜に 君がいる〜2013北海道マラソン完走記7 (2013-9-3 22:14:24)
(7)5分台を維持
「これ、降ってきそうだな」
「そうだね」
「でもここまで降らなかったから助かった。あとは多少雨に当っても影響ないな」
あとから私はこんな発言をしたことを大いに悔やむことになることをこのときは知る由もありませんでした。
徐々に折り返し点が近づいてきます。前からどんどん迫ってきている雨雲。その雲がやってくる前に逃げ込みを図りたいところです。でもペースは思うように上がりません。
24kmのラップは5分51秒です。かろうじて5分台をキープしているといったところです。
「俺はもうペースが上がらないわ。行けるようなら先に行っていいぞ」
「うん、25kmまではこのまま行く」
私はそんなOgakunに必死でついていきます。
苦しい走りになっていますが、Ogakunと話しながら併走してきたせいでしょうか。いつもよりも新川通が短く感じます。いつもは走っても走っても折り返し点が遠いというイメージがありますが、今回は「もうここまできたの?」という感じです。これで体にも余力があれば好記録が期待できそうですが・・・。
25kmのラップは5分58秒です。かろうじて6分を切っていますが、またペースダウンをしています。このまま6分台に入ってしまうとズルズルといってしまいそうです。なんとか5分台をキープして粘りたいところです。
この間の5kmは29分09秒です。やはりかなりペースは落ちています。それでもこのままいけば昨年のように4時間30分を超えることはないでしょう。年々落ちている北海道マラソンの成績を、今年こそは上昇に転じなければなりません。このときはそう思っていました。
25kmを過ぎてから、Ogakunの背中がだんだん離れていきます。私がランナーとなるきっかけとなったびえいヘルシーマラソンの親子ペア。あのときも同じように離れていくOgakunの背中を見ているしかありませんでした。そのときと同じような気持ちになってきます。
まもなく折り返し点にやってきました。まだOgakunの姿は視界に捉えています。このままなんとかついていこうと必死で走ります。
折り返すと急に体が軽くなります。海から迫ってくる黒い雲。それは海からの強い風に乗ってやってきているようです。その風が、折り返してからは追い風となって背中を押してくれます。往路でペースが落ちてきていたのは、向かい風の影響もあったのかもしれません。
26kmのラップタイムは5分51秒でした。折り返してから少しスピードに乗れた分、ちょっとペースアップしたようです。
追い風に背中を押されてはっきりとペースアップしました。このままの調子で新川通を乗り切れれば、最後の10kmのレースプランもたてやすくなります。27kmのラップは5分40秒まで上がりました。
ところがここで右のふくらはぎに痛みが走ります。先ほどから張りを感じていたふくらはぎが攣りました。いや、完全に攣ったところまではいってません。攣りかけたという状態でしょうか。おかしな力が加わると完全に攣ってしまいそうな状態です。これで左腰と右膝、右ふくらはぎ。痛む所は3ヵ所となりました。完全には攣らないようにとおそるおそるの走りとなりましたが、追い風のおかげでさほどペースを落とすことなく走れました。
でも後ろからやってくるのは追い風だけではありません。先ほどからときおり雷の音が聞こえてきます。雷が、そしてあの黒い雲が後ろから追いかけてきているのに違いありません。私は必死で逃げ切りを図ります。
28kmのラップは5分43秒です。いい感じで走れています。ここまででおよそ3分の2を走り終えました。残り3分の1。この調子で粘り切れれば、4時間は切れなくともここ数年では最も良いタイムでゴールできるかもしれません。
でもやはりそんなに甘いものではありません。追い風に頼ってペースアップをしてきましたが、足がだんだんついていけなくなってきました。腰と膝とふくらはぎ。それらの痛みが存在感を主張し始めます。ここが踏ん張りどころです。この苦しい新川通を乗り切れれば、新たなステージに入ることができます。
29kmのラップは5分50秒とまた少し落ちました。でも25kmラップで5分58秒まで落ちていたことを考えると、ここまでの粘りは追い風に助けられているとはいえよく頑張っています。必死に走っているのでどこまでもつかという不安はありますが、いけるところまでこのままいくしかありません。
ポツリ・・・ポツリ・・・。
突然、粒の大きな雨が落ちてきました。(つづく)
(1)チャレンジ
(2)対決前夜
(3)青い空と黒い雲
(4)隙間がない
(5)許容範囲
(6)併走