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【トレラン記】31年ぶりの南アルプス南部、詳細 (2013-8-28 23:59:52)
引き続き、今回の南ア・トレランの詳細です。●1日目;8月24日土曜日(晴れ後くもり・霧) 5時半出発・駒ヶ根駅-市ノ瀬(ロード) 22.0km
4時間・市ノ瀬ー仙丈小屋 14.5km 5時間54分・仙丈小屋ー仙丈ヶ岳ー伊那荒倉岳
4.5km 2時間9分 市ノ瀬までのロードは、2箇所急登があるのですがとても走れる斜度ではないのでしっかり歩きました。また、途中に何カ所か自動販売機もあり、水は最低限持っていけば十分。時間帯によっては途中で食事もできます。今回は水をたくさん持っていったので補給はほとんどしていません。 市ノ瀬から仙丈ヶ岳への登り約2000mはさすがにきついです。アップダウンも多いですし、林道と登山道が複雑にクロスしているので道に迷いやすいです。途中で昨年のTJARに参加した方に追い抜かれましたが、大きな荷物ですごいスピードで登っていかれました(後で聞いた話ですが、富士登山競争3時間の記録の方だそうです)。
この日、わたしの準備不足が仙丈小屋到着と同時に発覚。TJAR参加選手が持っていた荷物の大きさをここで理解しました。わたしは仙丈小屋で十分食べて食料も補給して南に向かうつもりでした。ところが、仙丈小屋では今年はお盆までの仙丈ヶ岳への登山客が多かったらしく、小屋は次の荷揚げまで宿泊者の夕食のおかずも節約しているくらいで宿泊者の夕食・朝食以外に販売する食料がいっさい無いとのこと。。。 私は、8月初めの剱岳トレランではどこの小屋でもお腹いっぱい食べることが出来て他に食べ物もいろいろ売っていたので、仙丈小屋のような人がよく立ち寄る小屋だったら大丈夫だろうと勝手に思い込んでいました。トレランで山に入るようになるまで山小屋に頼る山行をしたことが無かったので北アや八ヶ岳の小屋の印象が強く、今回は大失敗でした。 持ってきた食料は行動食3日分(残り2日分)、ジフィーズ2、非常食のカロリーメイト1箱のみ。他の小屋も同じような状況の可能性があり、わたしはこの事実に途方に暮れてしまうのでした、これでは南部までは入れない、下山かぁ。 でも、そんな困った顔していたら、小屋のオーナーが、凍らせてラップに包んだご飯を2つ、缶詰1つをわずかなお金で分けてくれました。これならあと1日分程度どこかの小屋で食料手に入れれば行動食を節約して3ビバークいけると判断し、予定どおり南に向かうことにしました。トレランは空腹ではとても距離が稼げない、途中で下山にしても交通の便が悪すぎる、最悪、どうしても食料が手に入らなければ小屋に泊まればいいかと、折角休みを何日もとって、今日は累積3000m近くも登ったわけですから、予定どおりの行動としました。 で、もう一つ、この日途中からガスってきて天気図も見れていないので、念のため小屋のオーナーに「明日からは天気よくなりますよね」と聞いたら、「また昨日のように荒れるかもしれない」と言われるんです。「前線がまた近くに戻ってきたのか?」と不安に思いながら、暗くなる前に出来るだけ高度を下げようと仙丈小屋を出ました。
伊那荒倉岳まで下ってツエルトを張った後、心配していた天気図を確認。前線が近くに横たわっていることを確認、でも午後からは晴れる予報。これなら雨に濡れた後気温が下がっても行動中に乾いてビバークも大丈夫と思っていました。この夜、駒ヶ根では夏祭りで花火の音が稜線上まで聞こえてきて、それを最初雷かと思い明日は下山かと不安に思ったのですが、すぐに気がついて眠りに入りました。
●2日目;8月25日日曜日(未明から本降り)10時半出発・伊那荒倉岳ー熊ノ平小屋 8.4km 4時間26分 朝3時に雨音で目覚めました。で、すぐに天気図と予報を確認。なんと前線は停滞したまま、午後から回復するはずだった天気は終日雨の予報にがらりと変わっていました。この時点で、この軽装で3000m前後のピークを二2つ越えて三伏峠まで行くのは体が冷えるし、トレランシューズでは頂上周りの岩場が滑りやすいのでリスクが大きいと判断。したがって、この日はTJARのビバークポイント取得条件となる”コースタイム15時間の後ビバーク”は諦めました。 でも次の小屋に行って食料補給をしたいので、熊ノ平小屋ならもう少し雨や風が弱くなってからなら行ける可能性があると午前中天気待ちにしました。この高度でビバークする以上出来るだけ体は濡らしたくないです。濡れた後に火もないツエルトでシュラフ無しで寝るのは辛いですし、まだ2泊あります。 朝、雨は降り続いていましたが、わたしの張ったツエルトの横を何人か登山者が通る足音が聞こえていました。「どうしようかな、濡れるはやだな」と悩みつつ、このまま狭苦しいツエルトで停滞するか、雨の中2999mの三峰岳を越えて熊ノ平まで移動するか、近くの両俣小屋まで少し降りるか、いろいろ考えました。結局、とにかく食料が十分ではないので、小屋で補給するために両俣小屋か、風雨が弱ければ三峰岳を越えて熊ノ平小屋まで前進することにしました。昼まで天気待ちすることは止めて10時半ごろ出発、この時点では次の小屋でいっぱい食べれるか食堂のストーブで多少は体を乾かせるかと思い込んでいました、状況的にはそんな確率は低いのにね。 移動開始してからも雨はまったく止みませんが風は弱まる傾向にあったので、両俣小屋ではなく、三峰岳を越えて熊ノ平小屋まで雨の中を進むことにしました。当然のことながらメッシュ生地のトレランシューズでは足は完全に濡れますし、透湿性のある雨具でも体全体が濡れ、使い込んだ雨具はぐっしょりです。
15時くらいに熊ノ平小屋に到着。まずは空腹を満たすぞと小屋に入ったのですが、仙丈小屋とまったく同様に宿泊者以外に提供する食べ物は完全に品切れ、交渉してもご飯は分けてもらえず、食堂に入ってストーブに当たることも許される雰囲気はありません。 一晩、濡れた体でわずかな食料で寒さと空腹を我慢して頑張っても移動距離が足らないのでビバークポイントも取れない、悩んだあげくツエルト泊は諦め、結局小屋泊まりとしました。このトレラン、ビバークで繋ぐことはできなくなりましたが、ここまで来れば、翌日天気良ければ畑薙第一ダムのゴールは確実そうで、しかも翌日は確実にビバークポイント取れるので、こんな判断としました。TJARだったらこの時点で失格ですね。ほんとTJARの選手はすごいと思います。いずれにしても、南アでの連続ビバークのロングトレイルは、食料はもちろんのこと、雨の可能性があるときは最低限の火と冬山用のうすい下着くらい持っていった方がいいようです。●3日目;8月26日月曜日(晴れから曇り・霧そして雨)3時出発・熊ノ平ー塩見岳ー荒川岳ー荒川小屋 28.7km 15時間 朝食なしで朝3時前に熊ノ平小屋を出発。シューズはさすがに乾いていませんが、ウエアは乾いて快適に距離を稼ぎ始めます。 塩見岳手前の森林限界を超えた当たりで明るくなりはじめ、そこからしばらくなだらかで、雲海に浮かぶ富士山を左手に見ながら天空のラン!めちゃくちゃ気持ちいいんです。こんなトレランをわたしは求めてたんですね。ただ、このあたり、ガス・雨の中を通過するのは注意必要ですよ。なだらかなので地図・コンパスをちゃんと見ていないと迷いそうです。
2つめの3000m峰「塩見岳」を登り、頂上で写真を撮ってもらったあと、次の3000m峰「荒川岳」を遠くに見て三伏峠に向かいます。三伏峠小屋に10時ごろ到着、ここでやっと普通に食料が手に入りました。これで今日の朝飯分のカロリー獲得。もう1時間待てばカレーを食べれたのですが先を急がないといけないのでカップ麺としました。でも、ほんと美味しかった! 小屋で30分ほどウダウダした後、「そろそろ出発したら」と小屋の人に急き立てられて、3つめの3000m峰「荒川岳」をめざして移動開始。残念ながら荒川岳に到着するころまでに(16時前)、ガスが出て展望は無しでした。そう、途中の避難小屋で桃缶を買いました。南アの避難小屋は人がいて、食料も売ってくれるのです。でもすぐに食べれるものはこの桃缶が最後だったそうです、食べた後に知りました。これでこの日の行動食を節約して翌日に望めます。
荒川小屋には18時ごろ到着。恐る恐る「食べるものありますか」と聞くと、「カレーだったらありますよ」と返事をもらえました。わたしのイメージする北ア風の小屋。南ア・ファンには有名らしい「荒川カレー」をビールと一緒にいただきました。で気分よくさあツエルトでも張ろうかなと思って小屋から出たら、なんと雨が降り出したんです。結局ツエルト張りながらしっかり雨具を濡らしてしまいます。ただ、そこは、濡れたあと、お酒とつまみを買いに小屋に戻ったときにしっかり玄関にあるストーブで乾かすわけで、この夜は雨の中ですが震えることなくビバークすることできました。でも、夜中にテントからトイレに出た時に、かなり雨がきつく、結局濡れた体でシュラフカバーに入ることになり、寒いやら気持ち悪いやら、ツエルトに当たる雨音を耳元で大音量で聴きながらまるで雨に直接当たりながら寝ているような感覚で次の朝を迎えるのです。
●4日目;8月27日火曜日(くもり、霧から晴れ)4時出発・荒川小屋ー赤石岳ー椹島 11.8km 7時間・椹島ー畑薙第一ダム下山 18km
2時間30分 雨は3時くらいまで降り続けました。この状態でのビバークでさすがに朝は体が冷え切り、なかなかシュラフカバーから出ることができません。昨日水を入れておいた冷たいジフィーズを食べて体が少し温かくなった段階でやっとシュラフカバーから出てツエルトを畳んで出発しました。 登り始めは晴れて星が見えていたのにすぐにガスが出てしまいました。4つめの3000m峰「赤石岳」の手前は塩見岳と同様に森林限界を超えてなだらかなコースが続きます。ぼーっとハイマツの間の踏み跡たどりながら前進したのですが目印見逃して下りが続きはじめました。ここで道を間違っているのに気がついて慌てて登り返すのですが、今回初めて地図・コンパスでルートの確認をしました。一般登山道だと甘くみてはいけないですね。 赤石岳の頂上は濃いガスの中でした。がっかりしながら椹島に向けて下り始めると、そのガスが消えはじめ、晴れ出すんです。どんどん晴れて雲海に浮かぶ富士山が再び見え始めます。こうなると元気が出てくるんですね。雲海の富士山を楽しみながら、樹林帯に入っても飛ばして下り椹島に11時ごろ到着しました。
赤石岳 荒川岳 聖岳 11時なら東海フォレストの送迎バスを使わなくても畑薙第一ダムまで18kmランでも余裕でバスに間に合うと、30分ほどウダウダして椹島を出発しました。前半は砂利道、後半は荒れた舗装、川沿いの景色を楽しみながら軽快に走り続けます。あの畑薙大吊り橋が見えてきたときはほんと懐かしく感動しました。学生のとき南ア縦走の最後はいつもこの吊り橋を怖々と渡ったのです。今回は渡ることはないのですが、南ア全山縦走を終えたときの充実感を思い出すんです。
14時前、畑薙第一ダムバス停に到着、コースは違いますが設定していた今回のトレランのゴールに到着です。これで今回のロングトレイルは完了、連続ビバークで抜けることは出来ませんでしたが充実したトレランでした。
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