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  ホーム >> frunブログ集 >> 【ロシアの声(旧モスクワ放送局) その2(大韓航空機撃墜事件等】

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link 高橋のブログ 高橋のブログ (2024-11-9 9:00:05)

feed 【ロシアの声(旧モスクワ放送局) その2(大韓航空機撃墜事件等】 (2013-8-30 8:18:24)

モスクワ放送局は、自国に何か不都合なことが起きた場合、そのことにはしばらく沈黙した。
また書記長が亡くなった時は一切のトーク番組を中止し、チャイコフスキー「悲愴」の第4楽章等を繰り返し流し続けた。
死去の報はすぐには伝えなかったのである。

ブレジネフ書記長が亡くなった時が私のこの初体験だった。最初は放送のトラブルかと思ったのだが、延々と悲しい音楽を流すのみ。

NHKがニュースで、「モスクワ放送局がずっと音楽のみを流しているので異変が起きたのかもしれない」と報じていたのも覚えている。

事実をしばし隠し続けるというのが、モスクワ放送局いやソ連のやり方であった。
アンドロポフ書記長が亡くなった時も同様だった。


BBCが、アルゼンチンとイギリスの紛争について、政府からの圧力に屈せず、淡々と早くから事実を世界に向けて報道したのと対照的だ。


モスクワ放送局は国営だから、仕方なかったのかもしれない。
(よくNHKを国営放送と書いている方がいるが誤り。日本放送協会。)


モスクワ放送局が報じないことは、機関誌「プラウダ」も記事にしない。この場合、日本のマスコミは「信頼ある筋からの情報によると・・」等、
必ずしも確かとは言えないものの、そのような情報に頼り、それを記事にした。


私が熱心に短波放送を聞いていた頃に、大韓航空機撃墜事件が起きた(金賢姫が関わった航空機爆破事件とは違う事件)。
大韓機がソ連領空を侵犯、ソ連空軍機が撃墜した事件である。日本人観光客も数十名が犠牲になった。

当初、大韓機はスクランブルを受け、ユージノサハリンスク空港に緊急着陸したという怪情報もあったが、その空港にNHKが確認すると、
その事実はなく、また稚内の自衛隊基地がソ連機の通信を高性能レーダーで傍受し、撃墜命令まで確認していた
(日本政府は自衛隊を通じ、すぐに事実を知ったようだが、レーダーの性能が公になってしまうのを恐れてか、発表まで数時間を要した)。

各国の放送局が、撃墜事件を報道する中、モスクワ放送局(日本語放送)はしばらくこの事実を報道しなかった。

24時間行われていた同局の英語放送も、同様。

既に日本国内では後藤田官房長官(当時)が記者会見し、事件の詳細を発表していたが、モスクワ放送局は沈黙続行。


一日以上経過後、ようやく「国籍不明の飛行機が領空を侵犯した」という僅かな報道をするようになったが、それでも「撃墜した」という言葉は
出なかった。

私はこの時ほど、モスクワ放送局を集中して聞いた日々は無かった、。

相当な監視下にある放送局なのだな..と思ったものだ。


後日、国連でこの事件が取り上げられた。各大使・外相のテーブルの前にはモニター、そしてイヤフォンがあり、彼らはそれを通じ、内容を再確認。
しかし、当時のソ連のグロムイコ外相は、イヤフォンを耳から抜き取り、「私は聞かない!!」と露骨に拒否反応を示した。
そのTVニュースを見てびっくりした。


なぜ大韓機が領空を侵犯したのか?を始め、今もなお、疑問が残ったままだと思う。

自国に不利なことはあまり報道しないというのは、別に珍しいことではない。しかし
モスクワ放送局はその中でも独特の存在だった。今の北朝鮮の海外向け放送「平壌の声」が、これに近い。


ソ連が末期の時、連邦国の一つ、リトアニアで独立回復運動が起きた。ソ連軍は独立を阻止しようとリトアニアに侵攻。

ソ連の支配下であったリトアニアの短波放送局「ラジオ ビルニウス」は最後の最後で、ソ連軍の侵攻を非難した。
NHKが、この状況を伝え、私もこの放送局の周波数にダイヤルを合わせた。

明らかに女性アナウンサーが泣きながら話している。言語は不明なので私には何の話かさっぱりわからない。それから1時間程度経過した頃であろうか、放送は遮断された。

当時、ラジオ.ビルニウスはモスクワ放送局の中継局を使っていたので日本でも良好に受信できたのである。

放送を強制遮断..、ラジオを聴きながらソ連の怖さを感じた。しかし、その後、リトアニアは独立した。
     
このような短波放送で政変をライヴで知るという時代は、もう完全に過去のもの。時代は変わった。寂しい。


また今の「ロシアの声」の日本語放送は本当に「軽い」。放送時間も激減したが、恐怖も激減というかこちらは消滅した。
軽快なポップスが流れながら、女性アナウンサーがにこやかにロシア紹介番組を行っている。こうまで変わるのか!!と呆れる?ばかり。


昔は「こちらはモスクワ放送局です。」という男性アナウンサーの低音のドスが聞いた声、もしくは女性アナウンサーのロボットのような血が
通っていないかのような冷たい声に、私は震えるというか緊張したものだ。

大出力で受信機のSメーターは右にバチン!と、張り付いた。アルバニア等からのロシア語放送には強力な妨害電波(ジャミング)を流した。
キューバ危機では、すぐにそこにモスクワ放送局の中継局を設け、アフガニスタン進駐後も、同様に行った。

我がソ連は強いのだ!と世界に発信していた。

ラジオが、その国の声の時代であり、モスクワ放送局は米国のVOAを明らかに凌駕する世界最大・最強の放送局だった。


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