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6.大会報告室 : 第26回田沢湖マラソン 11/09/18【受付台】

投稿者 トピック
むぎ
  • 登録日: 2007-3-29
  • 居住地: 東京、時折秋田
  • 投稿: 396
むぎ:『ワーストも ようやく復帰だ! 自己ベスト!』
りっきさんこんにちは、むぎです。

受付台設置、有難うございます。
久し振りの報告で切れ味が悪いですが、こちらも復帰戦です。


地デジ・データ放送の天気予報は雨、それも「土砂崩れを警戒せよ」と言う程の雨らしい。早朝5時前、大曲Gホテルから見えるのは窓ガラスに付いた滴のみで、外は暗く雨も普通程度だ。おにぎり2個と大福餅を濃い目のペット茶で、ついでに毎日の漢方薬2種と膝に良いと言われているサプリ3種をも流し込む。久し振りの単独フルマラソン、出掛けの準備を一つ一つ思い出しながら、指差し称呼を行う。何せ自宅に参加証の葉書を忘れてしまったのだから注意が必要だ。

『マラソンの 準備も中年 「あれ」や「これ」』

2008年に参加した頃より激しい渋滞に驚きつつ、道脇の隙間にようやく車を留め、雨の中傘差し大会本部に向かう。参加証再発行手続きののち無事受付完了、避けられない水溜りに何度も靴を濡らし車に戻る。ウェアは濡れても良い黒の長袖ラッシュガード+FRUN赤ランシャツ、下は黒赤のハーフタイツとする。シューズは久し振りでレース用・スカイセンサーだ。

『ランウェア 長袖以外 全盛期』

スタート前40分ほどになったら雨が小振りになり止みそうな気配、トイレの事も有るので車を出てスタート地点に向かう。周囲の車からも、車を出るきっかけを待って居たかの様に人が出て来る。ごみ袋を被っている人、100円ビニール河童を着る人、高級薄手のウィンブレの人、ランシャツだけで頑張っている人、それぞれだ。流石にぴったりフィットの長袖ラッシュガードにランシャツは居ない。

トイレとストレッチを済ませて隊列に加わる。初め見栄を張って「3:30〜4:00」に並んだが・・・、思い直して「4:00〜」の最後尾ブロックに再移動する。ちと恥ずかしい。5分前で隊列がじりじり前に進み、1分前でぐっと前に詰まり、スタート!

『スタート順 しずしず下がり 最後尾』

雨は止んでいるが今にも泣き出しそうな黒い雲の下、慎重に走り出す。調子はどうか?痛みは有るか?摺り足になっていないか?一歩一歩「大きく・ゆっくり、イッチニ・イッチニ」と言い聞かせながら6分半ペースを思い出す。今日の計画は、22k関門まで(出来れば30kまで)キロ6分半、その後は急な上り坂も有るが7〜8分ペースを維持して5時間制限に間に合わせると言うもの。

序盤は田沢湖畔から離れてスキー場方面に、上り下りを繰り返してJR田沢湖駅前までで13〜14km。学校・住宅地で応援を受けながら緩やかに昇り降りし、再び田沢湖畔のスタート地点に戻れば22kmの関門(2:30)。更に湖畔一周20kmをこなしてゴールとなるコース。前半で消耗しない様、関門に間に合わせるのが今の自分にとっては重い課題だ。

周囲の速いペースに惑わされない様、覚えた歩幅とリズムで進む。路面は水溜りが多く車で出来た「わだち」を避け、場所を選びながら足を置く。周囲のランナーも同じルートを進みたがるので車線の中で3列縦隊となっている。すでにかなり抜かれほぼ最後尾集団となっているが、慌てない。

JR田沢湖駅に向かう川沿いの道、川は茶色の濁流が激しく流れ、時たま流れる様にシャワーが舞う。田んぼの稲穂も風の流れに従って波打ち、お辞儀を繰り返す。こんな天候だが意外と湿気で暑く、雨だけでなく汗も浸み出して来る。握っている汗ふきタオルもすでに重さを感じる位に濡れて来た。こんなタオルで気が引けるが手の汗をぬぐい、沿道から手を出して応援してくれる少年・少女とハイタッチ。

「とうさん! 御苦労さん。 がんばってよ!」(実際は秋田弁で)と、かぁさん方から声援を戴く。この何とも言えぬ音感が、柔らかく足の痛みをほぐしてくれる。17k地点を過ぎた辺り、もう足の筋肉に疲れが出て来た。やはり・・・『練習は嘘付かない』。ここ半年20k以上の練習は皆無なのだから。

『足疲労 練習の距離 過ぎた頃』

住宅地を後にして田沢湖畔方面へ、国道から湖畔方面に曲がって20k、2:09:52。素晴らしい!絵に書いた様なキロ6分半ペース、ここまで『練習は嘘付いていない』。急坂を時折速歩で登って湖畔周回道路へ。ここはスタート・ゴール(直ぐ近く)地点でもあり、20k組でゴールした方々が大勢居て応援してくれる。そんな方々に引き攣った笑顔を返しながら「あと20k、あと一周」と念じる。

とその時「むぎ さん! むぎ さん!!」との声、秋田美人の走友Jさんでした。自身10kにエントリーしていたが、不調で走れないと言っていた方。有り難い事に、ブドウ糖と水と元気を補給してくれたのでした。「ブドウ糖採ると復活するよ」と言われた様に走りも復活!次々と追い抜き出しました。タイム的に考えれば、落ちて来た方を抜いただけでしたが、それでも元気になるものです。

降ったり止んだりを繰り返していた雨もいよいよ本格的になり、時折前方が見えにくく成る程激しく降り出した。握っているタオルは直ぐ絞らねば役に立たなく、水が流れる路面に足の踏み場は無くシューズもぐしょぐしょ、もう「わや」(北海道弁?)です。反対車線を車は走っており、モーターボートの様な水飛沫を避ける手立ても無いし避ける意味も無い。真夏に水を被りながら走る格好良さとは違い、悲惨そのもの。「はははははっ・・・」と、力無く薄笑うのみ。気分転換で湖に目をやるも、風に波立ち雨で薄白く湖面が揺れる姿が見えるだけ。演歌歌詞に出てくる様な、悲惨さを強調させる情景で滅入ります。
30k地点通過が3:17:41、この10k約68分。

『耐久走 演歌のさびが 口に出る』

田沢湖の辰子像地点であと10k、雨の中でも数名の観光客が辰子像の前で記念写真。その延長線上僅かに見える対岸がゴール地点。数字上は10kでも、視界に入る湖畔半周は・・・長い!
周期的に強弱を繰り返す雨の中、タオルを絞る回数も頻繁になるがそれで顔を拭いても直ぐ濡れるので意味が無い。重さを少しでも軽くしようと、失速を少しでも軽くしようと絞るのみ。ようやく35k、3:52:38でこの5kはほぼ7分ペース、まずまずだ。
いよいよ難所、強烈な登りに差しかかる。

「この登りは走れない、いや走らない方が良い!」などと言い訳を思いつつ、歩ける喜びに一息付く。そんな難所でも息を弾ませ必死の形相で走り登るランナーが脇を通る。「ここで力使っちゃったら駄目じゃん、歩いた方がいいよ」と心で忠告しつつ、歩いている自分を正当化する。暫くして視線を上げると数10m先をさっきのランナーが歩いている、「よしよし、それで良い。ここは歩くに限る!」。

『急な坂 皆で歩きゃ 怖くない』

歩きながら疲れた頭で計算し始める。
「さっき35k、残りをキロ8分だと・・・大体4時間50分台でゴールだ。余裕が9分有るから9分ペースでも完走間違い無し! よっしゃー!」
一方で、「待てよ・・4時間50分切りも可能では?50分台と40数分台では数字の印象が違うでしょ」と訳の解らぬ思考が頭を満たす。「いやいや、当初の計画を達成するのだから、数字の4も5も関係無いでしょ!分母も大きい事だし。ゆっくり行こうよ」と分別有る心が自制する。

『思い知る 自分の性格 フル終盤』

大小の昇り降りを繰り返しながら、相変わらず心の中では無意味な葛藤が続いている。葛藤して居るものだから自然と歩みにも力が入り、「しょうがねぇや」と坂頂上手前から走り出す。再び追い抜く人数が増えて来て40k地点通過、4:31:09。この難所5kを38:31と想定を超えるペースで乗り切った。もう四の五の言わずに走り出す。
「大きく・ゆっくり・イッチニ・イッチニ・イッチニ」。

応援が増えゴール地点はこの緩やかな坂の上、「ラスト!ファイト!ゴー!ゴー!ゴー!」の声援に応える足の力は無く「ゆっくり・イッチニ・イッチニ」を繰り返す。「中高年のラストスパートは危ない」、との教訓も思い出しながら。(有り難い教訓である)

アスファルト路面から砂地広場に降りて、避けられない水溜りに足を縺れさせながら、ゴール!!
4:46:39 不思議と冷静なゴールでした。泣くかと思っていたのに・・・。

『ワーストも ようやく復帰だ! 自己ベスト!』


長文をお読み戴き感謝申し上げます。


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むぎ


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